こまつ座のお芝居を見に行きました。
http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/index.html
これは、数年前、仕事で行かれなくなったオットのチケットをお友達のMりんさんに買っていただき、ご一緒させていただいたことががあります。脚本がしっかりしている上に、役者さんが芸達者揃いで(話題は大竹しのぶさんになりがちですが、いや木場さんとか、お母さん役の方、梅沢昌代さんがうまいんですよ)、とっても楽しい舞台でとても楽しかったんです。Mりんさんも楽しんでいらしたご様子でした。
私が、いい芝居だったよお、と言っているので、見られなかったオットは見たいなあと思っていたようです。
その後、ちょっと知り合いになったこまつ座の方から、大竹さん自身がこの舞台の再演にたいへん積極的だということ、彼女が出した半生記でも数多くの舞台の仕事の中から、この舞台を取り上げて書いていらっしゃることなどから、いつか再演されるだろうとは思ってました。もちろん、とても忙しい役者さん揃いですから、たいへんだということも聞いてましたけどね。
やっと再演、と聞いたので、いい舞台は何度でも見たいので、紀伊国屋のサザンシアターに行きました。
これは、林芙美子さんの生涯を大竹さんが演じたものですが、戦争中に戦争を賛美したことを書いたりしたりした彼女、その後の挫折という面を強くだしています。井上さんですから。それを支える家族や取り巻き、そして演出、どれをとっても、高水準であるだけじゃなくって、観客を長時間飽きさせない舞台になっています。音楽や歌、セリフも磨きがかかってます。私は2度目ですが、それでも新しい発見や、関心があって、たっぷり3時間とても楽しい充実した時間をすごしました。
芝居の中で、レコード会社に勤めている木場勝己さんが、歌や小説や流行歌は人気投票なんだ、といいます。当時の「戦は儲かる」という世の中の物語をちゃんと理解して、それにあったものを書けば売れるし、人気投票に合致している、だからもうかるんだと日本レコード社のプロデューサーとして、林芙美子に売れるものを書く秘訣を教えます。
それを理解して、そして、自分もそういう気持ちになったんだろうけど、戦争賛歌、兵士の潔さ、愛国心みたいなものを散々書いた芙美子がいます。しかし、それが間違っていたとわかった戦争末期、それを反省した戦後6年間、復員兵や戦争未亡人、孤児を書き続けて心臓発作でなくなるまでの彼女の苦悩、そして時代を書いた、今にもとても示唆にとんだ芝居です。
今の物語は?ちなみに、市場原理でしょうか?自由競争でしょうか?成功のヒケツ?自己責任?でしょうか。このころ、ヒットすることを見ていると、このまやかしに上手に乗っていること、そして、ある程度、わかりきったことと、ある程度斬新に*見えること*の兼ね合いのバランスということをすごく感じます。売れるものは斬新すぎてもいけない、ある層には当たり前すぎて、ある層には斬新くらいのところのもの、そして時代の「物語」に乗っていること、それが今の現実のように見えます。本当に価値があるかじゃない、というのはいつの時代でも同じかもしれない。
この市場原理と競争社会の中の成功という物語の一見まことしやかな、実は大嘘を含んでいると私にはどうしても思える構造が、いつまで続くのかなあ、物語が、ガラっと変わるときがくるんだろうか、それともいけるところまでいくのだろうか、この芝居を見ながら感じます。
さて、皆さんの物語はなんでしょう、そしてそれは時代の人気投票で票が稼げますか?
芝居はこんなことを考えるような内容ですが、芸達者な役者さん、音楽、歌、セリフまわし、どれをとっても秀逸な舞台でした。たった6人の役者さんで、ここまで世界を広げられる、舞台装置なんてたいしてないのに、無限の時空が広がるのが舞台の楽しみです。
こういう舞台を見る楽しみ、ほんとに楽しい数時間を過ごせた喜び、新宿っていう猥雑な町なんですが、気持ちはすっかり別世界です。いい舞台でした。
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