2009年11月 8日 (日)

出世花

出世花 時代小説

 えーと、「八朔の雪」から、「銀二貫」ですっかり参ってしまっている高田郁さん。この方のごく初期のころの作品のようです。

 八朔の雪はここ

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-322e.html

 銀二貫はここ

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-32cd.html

 あの、アカデミー賞?でしたっけ、「おくりびと」が話題になりましたね。納棺士の話です。この出世花も、それに近いものがあります。

時代は、江戸時代、職業は、湯灌をする人です。その湯灌をする女性が、仕事で出会うあれこれです。たいへんな仕事であります。

 この女性、いろいろな仏さんとそれにまつわる人に出会う中で、人の気持ちのあれこれ、世間のあれこれを感じていくところが、さすがの高田さん、うまいです。

 人の死って、誰にでも逃れることができません。自分の死も家族、知人、大切な人の死も、特に、この時代ですから、短命な人も多く、犯罪も科学的に捜査されていません。そんないろいろな死を知ることは、実は、生きている人の世の中を知ることになっていくわけです。

 やっぱり高田さん、うまい!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 7日 (土)

あの空の下で

あの空の下で

 国内線の機内誌、ANAは「翼の王国」、JALは「SKYWARD」ですね。月毎に変わります。あれ、たいがい読んでます。最初に社長の挨拶があって、巻頭エッセイとかちょっとした旅を題材にした短編、有名人がJALカードを使っているというような話、世界の国や都市のちょっとした紹介、旅にまつわる本の紹介、インタビュー記事、地方都市のおいしいもの紹介、空港のお土産の紹介、はては、旅にまつわり飛行機にまつわる読者の投稿なんかですね。この読者の投稿が、また好きで、全部読みます。娘と旅をしてどこへ行くのにANA(またはJAL)を利用して、いい思い出になった、というような話などなんですがね。なんだか全部読むんです。何が楽しいかと聞かれると困るんですけど、この読者の投稿って、主張がなくって、単なる思い出なんですが、自分でも不思議と好きなんです。

 JALは、最初の方に浅田次郎さんの身辺エッセイがあり(これが、つまらん、全部読まないこともあります)、ANAは吉田修一さんの旅にまつわる短編があって、これ好きでした。なんだか、ちょっといい話で、短いんですけど、飛行機がイヤミにならないくらい出てきて、器用な短編です。これは、その短編を集めた本です。どれも、ズドーン!とくるような話じゃないんですけど、うまいなあ、うふふ、ほっとするそんな話です。

この点は、大きくANAの機内誌に軍配をあげたいです。

この機内誌、ショッピングカタログとともに、「ご自由にお持ち帰りください」って書いてあるけど、そういえば持って帰ったことはありませんね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 6日 (金)

落語家はなぜ噺を忘れないのか

落語家はなぜ噺を忘れないのか

 私、i-podで落語を聴いたりもするんですが、落語家さんの名前とお顔はうまく合致していません。テレビ全然みないしなあ。そんな私が、数少ないちゃんとわかる落語家さんは、柳家花緑さん。それは、去年恵比寿で高座を聞いたからです。

 えーと、ここね。

2008年12月2日

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-d115.html

若いけど、芸達者な落語家さん、ということでお名前をお顔がちゃんとセットでインプットされております。

その花緑さんが、新書を出されていたので、読んでみました。へえ、噺家さんが噺を覚えるのって、人によってずいぶん違うんだなあ。花緑さんは、ノートにびーっちり書いて覚えるそうです。そして、どういう工夫や苦労があるか、どんなことを考えているか、アレンジはどういう風に考えるのか、へえ、へえ、ってとっても面白いです。彼が祖父(人間国宝の落語家さんです)から受け継いだ古典を、どう自分のものにしていこうかと試行錯誤を重ねる姿もよくわかります。もちろん花緑さんが、誠実なお人柄で、噺家っていう仕事にとてもマジメに取組んでいらっしゃるからこそ、それが文章にも表れて、ほんと努力の人なんだなあ、と思えるのも素敵です。

落語家さんにとって、こういう噺の舞台裏まで本にしてしまうのは、手品の仕掛けを明かしてしまうようなヤボ(粋の対極ですね)なことらしいのですが、それでも、彼は落語が大好きでヤボは承知で書いてくださっています。

いやはや、すっかりファンになってしまいますわ<花緑さん。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 5日 (木)

翻訳家じゃなくて、カレー屋になるはずだった

翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった

 

 翻訳家で有名な金原さんのエッセイです。えーと、なんか賞を貰って(たしかタイプの違う若い女性2人が受賞したときの、地味じゃない方の方である)有名になった、金原ひとみさんのお父さんで、法政大学の教授ですね。ヤングアダルトといわれる、比較的あたらしい分野の翻訳など、いい本をよく見つけて翻訳なさっている方です。翻訳書の棚を見るととき、全然しらない作家さんばっかりだったら、訳者を見ますが、そのときに、チェックする訳者さんのお一人です。彼の、あちこちに書いたと思われるこれまでの短文を集めています。

 妹さんと、彼女のカレシと一緒にカレー屋さんをしようと思っていたところ、ひょんなことから、大学院にお誘いを受けて、大学院に行くことになって、なんだか翻訳することになったこと。高校時代の成績は、5段階評価のせいぜいが3で、全然英語ができなかったこと、ヤングアダルト小説っていう分野が確立されていなくって、ジュニア小説っていわれがちで、ジュニアじゃ、子供じゃん!と言い返すと、ヤングアダルトだと、なにやら怪しげに思われるという時代だったこと。この分野のおもしろい小説を一生懸命さがしていたことなど、へえ、へえ、って思います。

 彼がたくさんの日英の本を読んできた中で感じている言語による文化の違いなんかもちらっと出てきます。特に面白いのは、翻訳って、特に小説の翻訳となると、文学なんだよね、どういう文体の文章を書く人間かということが問われる、ということ。翻訳機でできるものじゃないだなあ、ということ。

 私の仕事は、小説でもエッセイでもなく、極端なことを言うと修辞のないデータと論理のレポートを作成していく仕事なんだけど、それでも誰がどういう風に書いたかって、結構でますねえ。といっても、昨今、論旨が通らない文章を書く30代@超高学歴、が多くって参っているんだけどね。あーたね、データ扱うの苦手、論旨の通らない文章、それで研究者になろうたって!!みたいなイライラな日々です。

 最後まで機械におまかせできない砦が、文章を書くことかもしれないと思うこの頃。ブログ書くようになって、その難しさに痛感しますわ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年11月 4日 (水)

最初のオトコはたたき台

最初のオトコはたたき台

 なんだか刺激的?なタイトルですが、週刊文春の彼女の連載をまとめたものです。相変わらずな林さんですが、まあ、文春ですから、ananの連載よりおしゃれ関係の記述が少ないとは思うんですが、少しずつ変わっている様子が伺われます。

 やっぱり出版不況なんでしょうか?とっても凝っていらした和服とか、ブランド物とかに対する熱が醒めて(あるいは自粛している?)、とてもとても、日舞とその着物関係のお付き合いには、付き合い切れないわあ、という感じになってきています。林さん、もっと売り方を考えれば、今の3倍は売れますと、勝間和代さんに言われてブログをはじめたとありますが、本の売れる数が減っているんでしょうね。食べることは、相変わらずですが、着物やブランド物への出費が抑制気味な感じが出ています。50代も半ばでしょうか。やっぱり「残るは食欲」(byアガワさん)でしょうか。

 そして、かれこれ20年くらいダイエット、ダイエットといい、週に2-3回、専属のトレーナーが自宅に来てトレーニングをするという、贅沢なダイエット&健康管理メニューを続けているのに、メタボ検診(女性は腹囲90センチ以上がメタボですよ、90センチですよ!!)で、大幅に上回ってしまうという林さん。なんで?!?!

 まあ、見違えるほどやせた成功談なんて誰も読みたくないでしょうけどね。

 また、アグネス論争(20年以上前だよね)にも、実はまだ、ちょっと根に持つところがあるらしいという様子もうかがえて、ほーんとショージキな人なんだなあ、と思う一冊。ショージキに枯れて、ショージキに煩悩もやっかみも、まだちゃんと残っている林さんでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 3日 (火)

謝々!チャイニーズ

謝々(シエシエ)!チャイニーズ

 転がる香港に苔は生えない でずいぶん前に話題になった星野さんの中国記。この香港の本は、とっても面白くって、たしか以前にご紹介しました。

 ここね

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_f2ff.html

 この本を読んで、数年後、去年の冬、2泊ぽっきりの超短い旅で香港に行ったんだけど、彼女が香港ですごしたようなそんな時間が過せるわけじゃなかったけど、ボロボロの高層ビルの上とか、裏通りのまっくろな得体の知れないお茶のスタンドとか、路地の物売りとか、いろんなものを見るたびに、星野さんのこの本のことを思い出しました。そんな、イキイキとした香港の本です。

 その星野さんが、1993年頃から歩いた中国のことを書いた本というので、文庫になってたので、喜んで読みはじめました。私自身は、中国はほとんど未知の国で、すでに返還されてた香港と、今年の1月に2泊で上海に行ったことがあるだけ。つまり、特別なところだけしか見たことがない状態。中国のことは、報道や本、映像でしか知りません。

 まったく観光地でも、有名どころでもない中国のいろんなところを歩きます。親切にされたり、騙そうとされたり(日本製だよ、と騙そうとする>笑)。彼女は中国語が少しできるので、「普通語の下手などこか地方の辺境から来た中国人」に見られるらしく、絶対日本人に見られないので、そういう田舎の人には、日本製だよ、という釣り文句なわけです。たくましくって、強くって、ごみを海に道に捨て続ける中国の普通の町のあれこれ、彼女が知り合ったいろんな人のあれこれです。

 顔は似てても、いやー精神構造は全然違うなあ、と驚くことばかりの中国の様子(ただし、15年前です)。その後、星野さんが日本に戻ってからも、密入国したり、あるいは観光ビザで入ってきたりして、彼女を訪ねてくるときのことも含めて、いやはや、自分の身に起こったらシンドイことも多そうだけど、驚き笑えることがいっぱいです。中国を理解し、一緒に何かをすることを考えるなら、こういうメンタリティの12億人(もっとか?)を知らなきゃダメなんだろうなあ、いやはや、楽しい本でした。

 ちなみに、この本については、大好きな米原万理さんや、斉藤美奈子さんが、結構勧めていらして、出会ったら読んでみたいと思ってたんです。文庫になってます。中国人のすごいパワーと、生きる力と、たくましさに圧倒されます。やっぱり旅は遺跡じゃあない、遺跡を作り残し、そこで暮らす人なんじゃないかと思います。そういう星野さんの旅がまたすごくいいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 2日 (月)

隠蔽捜査

隠蔽捜査

 以前に、このブログに遊びにきてくださるお友達から教えていただいていた、今野さんの作品。連作になっている1作目。今野さんて、なんだか幅広い作品があって、評価もいろいろで(つまり高い評価の作品もあるけど、そうでもないのもあるらしい・・と聞く)、読んだことがなかった作家さんなんですけど、お友達のお勧めもあって、読んでみました。

 竜崎という主人公は、トーダイ出の警察庁のキャリアです。なんでも、正論の人で、キャリア官僚は、国を守るために働いているので、個人生活の犠牲も、国家につくすことも当然と考えています。キャリア官僚になるには、トーダイを出ることが必要だから、息子が有名私大に合格しても、入学を許さず、トーダイを目指して浪人させます。ともかく、変人なんですけど、やけに正論だけの人なんです。笑っちゃうくらいおかしいけど、よくよく考えるとまっとうです。たとえば、夜中の呼び出しに、偉くなると、なんだかんだといって起き出していかなくなる警察官僚の中で、国家に尽くし安全を守るのが、自分のエリートとしての仕事であるという正論だけの人なので、起き出して現場に向います。起きてくる妻に「お前の仕事は家庭を守ることだから、起きなくていい」「自分の仕事は国家を守ることだから行くのである」と正論だけで、妻を寝かせます。なんだか、優しいとか思いやりとかじゃなくって、正論で生きているんですわ(笑)

 その正論だけの竜崎に、2つの難問が起こります。一つは、予備校生の息子が、部屋でヘロインを吸引している現場に遭遇することです。正論の彼も19歳の息子の喫煙くらいなら、軽く注意しようと思っていたところ、ヘロインです。これは、麻薬取締法違反です。もう一つは、連続殺人事件が起こり、どうやらその犯人が、現職の所轄の警察官らしいということになります。前者について、ヘロインをトイレに流してしまって、息子に厳重注意すれば、自分の身分も息子も逃げられるとアドバイスされるし、後者は組織ぐるみの隠蔽工作が動き出します。

 その中で、正論の竜崎が選び取る選択、なんだか、変なヤツだなあ、と思って読み始めた竜崎、友達になれないだろうなあ、みたいなヤツなんですけど、ちょっといい男かも、って思い始めました。解説は北上次郎さん、あの、シーナさんの友達の目黒孝ニです。彼が、次の「果断」も面白いって言ってるから、次言ってみようっと!

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年11月 1日 (日)

パーフェクト・リタイア

パーフェクト・リタイヤ

 くされ縁の藤堂志津子さん。実は、私の中の評価は決して高くないのに、なんだか新刊が出ると、ついつい読んで、チェックしたくなっちゃう人なんです。でも、夢中になって読むってこともなくって、いつまでもベッドの脇に積んでしまう。という作家さん。何が代表作か?お勧めは何か?って言われても、全然答えられない。うーん、イマイチかなあ、なんて言っちゃいそうな(もちろん、私の個人的な評価であり、それ以上では決してありません)作家さんなんだけどね。

 また、新刊か?と手にとってみました。短編がいくつか入っているけど、ぜーんぶ40代以上の女性が主人公。うむ、こういう年代、もちろん自分(って、私ね)に近いっていうことかもしれないけど、そして、色恋も、強くないことが枯れている私に合ってるのかもしれないけど、そしてもちろん期待値も低かったんだけど、さほど悪くない一冊でした。しつこい恋愛とか書かないで(彼女の恋愛書いた小説は、あんまりうまくないと思うんだわ)、こういうのを書けばいいのに。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月31日 (土)

メリーゴーランド

メリーゴーランド

 たしか、2-3日前にご紹介した荻原さんのサラリーマン小説が、さほど悪くなかったので、今度は、地方の田舎の公務員にUターンした人の、奮闘小説を読んでみました。地方公務員の町おこしのあれこれ、っていうと、篠田節子さんの「ロズウエルなんか知らない」を思い出します。あれやこれや、地方公務員の方と、いろいろと接点のある仕事を長年やってきているのですが、いや、これは秀作だわ!!って思いました。ほんとにうまい!!篠田さんが、八王子市役所勤務だったということを思い出します。

 ロズウエルは、以前にもご紹介してますね。

 荻原さんは、ここまでリアルじゃないんです。やっぱりクセで劇画的に強調しちゃいます。そこが、魅力であり、かつ残念なところだと思うんですが。東京から5時間、人口7万人の市で、以前に作ったけど、すでに入園者が少ない、赤字のテーマパーク「アテネ村」、この振興を図らなきゃならない部署に、回された30代前半の男性の奮闘記です。

 ありそうな公社という名前の民間会社、でも実態は市の天下り機関で、全然コスト意識なし。居そうな上司。癒着している地元のふるーーい企業。そんな構造と、そこで、大鉈を振るおうとするUターン組の彼。ちょっと、安易に、彼が東京で関わっていた劇団の人を出してきたりと、地道じゃない路線もあるんだけど、なんだか、結構楽しんじゃいました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月30日 (金)

おいしいくふうたのしいくふう

おいしいくふうたのしいくふう

 いやはや、山本ふみこさんって面白いなあ、いいなあって思う本です。

 なんだか、ちょっとした工夫や、それを楽しむところが、すごく楽しいです。彼女は、つれあいとおっしゃる夫さんと3人のお嬢さんとの5人家族。上の2人のお嬢さんはもう成人して働いていらっしゃる。年の離れた末のお嬢さんはまだ10歳とか11歳。いいよね、そういう小さい子供と大人の生活。

 その中の、ちょっとした暮らしの楽しみや、彼女のうふふ・・っていう気持ち、それがなんだか、かわいらしくって、すてきで、いいなあって思う一冊。

 5人家族の暮らしの中で、お母さんであるふみこさんが、「○○しなさい!!!」って声を荒げることじゃなくって(いや、かーちゃんやってて、荒げることもあるんだろうけど、と信じたい気持はあるけど)、なんだか、楽しそうに、ごみ箱をまとめるお願いをしてしまったり、自分はさっさと寝るんだけど、遅く帰宅される2人のお嬢さんのことが心配だから、帰宅したら、部屋にボール(ゴムボールのカラフルなのね)を投げ入れることにしてもらったり、「ちゃんと連絡しなさーーい!!」「あんまり遅くなると心配するから!!」ってイライラ、つんつん、けんけん言うのじゃない、楽しい工夫がいっぱいあって、あー、もう大人と暮らしているわたしは、そうだよな、見習わなきゃなああ、と思うことがいっぱいでした。

 ついつい、「○○なんだからああ!!!」なんて言っている、うるさいかーちゃんなんだよな。こういう一呼吸と、こういうなんだか、ふんわりしたところ、いいなあ、って思う山本さんです。いや、かーちゃん業だからさ、たまには怒ったりもしてるんじゃないかと、期待はしてるんだけどね。(しつこい!)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月29日 (木)

英雄の書(下)

英雄の書 下

 先日、ご紹介した宮部さんの最新作の下巻です。

 宮部さんって、すごーーいゲーマーなんだろうか?こういう妄想(笑)が頭の中に渦巻いている人って、私のような超が3つも5つもつく現実オンリーの人間にとっては、とっても異星人で不思議が気がします。こういうことを妄想しているのかなあ。面白いなあ、面白いけど、不思議だなあ、の頭の中です。

 これは毎日新聞だかに連載されてたものらしいけど、新聞連載って比較的層が広いものを書くんだろうと思うけど、こういう系統って、多くの人が楽しむんだろうか?北村薫さんの「謎のギャラリー」を底本にしているというので、チラっと見てみたんですが、ずいぶん違う。もう宮部さんの妄想膨らみすぎなんですよ。

 上巻で、行方不明になったおにいちゃんを探しにいった女の子がいろんな出会いがあって、いろんな本や英雄や黄衣の王に出会っていくお話。お兄ちゃんは見つからないっていうのも、物語のまとめ方としては、万人向けじゃないし、ちょっと怪奇小説っぽい要素もあって、(クトゥルフ神話の中の黄衣の王を使っているわけですから)、なんだか不思議です。新聞小説としては、異色なんじゃないかな。

 結局、お兄ちゃんは見つけられず、女の子は普通の生活に戻り、物語の世界から実生活にもどってくるんです。人間はみんな一人ひとり、自分の人生を紡ぐんだなあ、物語の世界に入って、他人に紡いでもらうとか、他人の紡いだ話で生きようっていうのは、違うんだな、というようなことをぼんやり考えるようなそんな話です。いや、こういう教訓的なことじゃなくって、なんていうか、もっと、なんとかの印だとか、そういうことがいっぱいあって、うーん、私には受けません。なんとか、最後まで読んだけどね。

ふーーー。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年10月28日 (水)

神様からひと言

神様からひと言

 荻原浩さんです。彼の作品は、映画にもなった「明日の記憶」(でしたっけ?若年性アルツハイマーになる話、渡辺謙さんと樋口可南子さんが夫婦でやった映画の原作です)くらいしかまともに読んだことがなかったです。「母恋なんとか」っていう本をちょっと読みかけたんだけど、あまりにもベタベタな雰囲気で、途中で投げてそれっきり。

 これは、広告代理店で上司ともめて、食品会社に転職した27歳のサラリーマンが、そこで繰り広げるあれやこれやです。サラリーマンって、こーんなに、本当の善悪とか、目指すべき方向性とは別の論理*だけ*で動いているのかな、なんて思う、サラリーマン20数年目の私は、甘ちゃんでしょうか。もちろん、本当の善悪だけ、めざすべき方向性*だけ*で動いてないことは、よーくわかっています。ちょっと違うだろうということも、変なこともいっぱいあるのも、組織で長いこと働いているからわかります。それどころか、おいいい!!っていうこともいっぱいあるのもわかります。でも、別の論理*だけ*じゃないこともわかります。会社の中で、上司とか、この小説のような跡とりの2代目とか、そういう論理だけで動いていたら、市場経済の中で、当然ながら生き残れないわけで、そこに修正が入ってくること、長期的には、崩壊する論理があることが、わかるはずなんだと思います。

 小説ですから、ある面を強調して、そして荻原さんのクセとして、ちょっと劇画的に描いてみたりするんですけど、サラリーマンって言われる普通の働く人の、奮闘小説です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月27日 (火)

欲に咲く女、欲に枯れる女

欲に咲く女、欲に枯れる女

 岩井さんの毒って、毒の影に、実はへえ、へえっていうことが隠れているから面白いなあ、って感じることがしばしば。今回は、いろんな欲(どうみられたいか欲、エロ欲、金銭欲などいろいろだけど)のある(あるいは、それが枯れているということで、人間には欲があるということを示している)女性たちのことを書いています。まあ、彼女が見聞きした、ジツに極端な例も多いんだけどね。

 

 で読みながら思ったのは、女性は、「人間として」の前に「女として」どう見られたいかっていうことを男性より、強く切望しているんだろうか。っていうことです。たとえば、中高年の出会いの場(相当あやしげなヤツだろうけど)のことなんかの岩井さんの記述を読むと、男性はなんとかして、女性と2人きりになりたい(まあ、目的が明確)なんだけど、女性はともかく、まあ、目的を果たしてもいいんだろうけど、その前に「綺麗だ」とか「美しい」とか、「なんだかんだ」とともかく、おだてすかし、持ち上げていい気分にさせてほしいわ、状態みたい。(と岩井さんは書いている)、男性に対して、「ステキ」「かっこいい」「すごくオトコらしい」って持ち上げようということは、あーんまりないよね。ふーむ。そうなんだろうか?それは何故なんだろうか?!とずいぶん考えた。

 私ね、まあ、アタシですから、そんなふうなきれいとか美しいとか、この世のものとは思えない美とか、絶世の美女とか、すんばらしいプロポーションだとか、そういうところとは別の実態の上に存在しているからなんだけど、なんだか、そういうおためごかしで持ち上げてもらわないと不愉快ということは全然ないと思っていたのです。それより、一人一人の人間の発言や考えて居ることをネグレクトされるようなことが耐えられない。美やスタイルなんかじゃなくってね。美やスタイルは無視してくれていいよ(ってないから無視しようがない?)

1対1の関係でも、私の気持ちや発言や考えようとしていることやいろんな想いを知りたい、知ろうと思わないくせに、(そんなことはありえないだろうけど、仮に)、それを知って、尊重しようと思わないくせに、私の美とか体とかに興味を持ったとしても(ありえないがね、仮にだ)、ジツは蚊が飛んでるほどにも気にしないし、くだらないとしか思わないんだよね。犬がこっちを向いた方がずーっと気になる。一方、私の気持ちや発言や考えようとしていることや興味を持っていること、好きなこと、私の中身を知ろうともしないで、「好きだ好きだ」「したいしたい」なんてことが(仮にだ)あったとしら、殴ってやりたい(すいません)。それが気持ちいい、という心情がぜーんぜんわからない。不思議だ。ワタシという実態を知ってるから、ウソだろ、おまえ、というのがわかっているからというのが大きいというのをさっぴいても、やっぱりダメだ。そんなのでホイホイといい気分にはならない、と思ってたし、今でも思ってる。

ここからは、ノロケでも、なーんでもなくって読んでほしいんだけど。考えてみると、ウチのオットは、日常的に「すごくかわいい」「きれいだ」「似合う」なんていう単語をいくらでも、ワタシを*見もしないで*(大笑)言うんだよね。雨あられのようにしょっちゅう、しかも*100%絶対にアタシを*見てない*から、それこそ、まるで蚊が飛んでるより気にしないけど(蚊が飛んでる方がずーっと気にする、食われるとかゆいから)、返事もしないし、隣の犬がほえたくらいの音でしかないんだけど(笑)、それでも彼が長い付き合いで無視され続けているのに、そういうことを言っているのは、どこかに、「そういうスタンスを取っているのが、平穏のヒケツ」って体で(口で?)覚えているからなんじゃないだろうか?そもそも本人意識して言ってないだろうし、その効果をまったく思ってもないだろうけど、思ってもないことを接尾語か接頭語のようにくっつけて言っているのは、何か、私にそういうところがあるんじゃないか。そして、わたしは、毎日雨あられのような単語を浴びて無視していることで、何かバランスが取れているのではないか、と思ったりもしたのでした。

女は怖いよ。うん。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月26日 (月)

すごい本屋!

すごい本屋!

 和歌山県の山の中、ほーんとにとんでもない山の中らしい場所。和歌山から在来線を50分、そこから路線バス何十分、おりてコミュニティバス何十分、おりてから何十分か歩く、という山の中で20坪の本屋をやっている方の、すごい本屋の記録です。

 ひゃーー!そういうところで本屋が成立つの!?どういう工夫で、どういう風に村落の人の中で受け入れられてきたのかしら?

今、住宅地って、ほーんとに本屋が成立しにくくなっていますよね。都会の住宅地でも、ですから、山の中の本屋!?なんだかわくわくしながら読み始めた本です。

 山の中の本屋さん、他にお店はないから、お線香とかお塩とか、ちょっとした生活用品、学校帰りの子供たちの駄菓子なんかも置いているんだけど、女性一人で切り盛りしている本屋さんの奮闘記です。

 私が、事業化サポートコンサルとして、本屋さんの事業成立可能性のレポートを作るとしたら、人口と人口構成、世帯構成、商圏、家計調査に占める書籍代、趣味関連費用等をはじき出し、周辺の商業施設(車で行くロードサイド店など)の状況等をデータに落として、たぶん、難しいというレポートを書くだろうと思います。現実には、女性の書店主は、オットさんが別にやっている店の従業員という形で子会社である書店を任されている形態になっているようで、事業採算が取れているかどうかは知りません。

 ただし、こういう数値とデータでは図りきれない、可能性、ひたむきな気持ちと行動が引き起こす事柄っていうのがあるんです。たとえば、この女性書店主は週に1日の定休日の前の夜に夜行バスに乗って東京に行き、出版社をいっぱい回って、夜行バスに乗って営業日の朝、戻ってくるのです。東京の出版社に果敢に乗り込んで絵本の原画を借り出してきて(もちろん断られることも多いようです)、村の店の中で原画展をやったり、ダンボールに何箱もの本を持って小学校や保育園を回って子供たち自身に選んでもらうイベントや、読み聞かせイベントを開催します。そういう地道で、すごくたいへんで、オリジナルな努力が少しずつ実を結んで、子供たちが、大人が本屋さんに注目してくるようになります。絵本作家さんも、自分の原画を村中の人が見に来るという村の本屋さんを訪れてくれます。いろんな取組みが雑誌や地元の新聞に紹介されるようになって、遠方の方も寄ってくれることもあります。そんな本屋さんのお話です。

 儲けるとか有名になるとかとは無縁で、これを成功とも言えるかどうか判断のわかれるところだと思いますが、ひたむきに、本が好きで、本に目を輝かす子供たちや大人たちを見たい、村にもそういう場所を作りたい、という気持ちで、自分の精一杯の工夫と努力を積み重ねる仕事をする人がここにも居ます。すてきな、すてきな本屋さんのお話です。

この本屋さんは、ここだそうです。

http://www5.ocn.ne.jp/~i-heart/

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年10月25日 (日)

センチメンタル・サバイバル

センチメンタル・サバイバル

 平安寿子さん(ヘイアンさんじゃないよ、タイラさんだからね!と毎回書いてますね)ファンとして、逃していたのに気づき慌てて読みました。

 このブログで平さんは、ほぼ全作品をご紹介していると思います。検索してみてくださいね!なのに、これを読み損なっていたとは!

 25歳、就職せずに画材屋さんでアルバイトをしている女の子、自分に何がやれるのか、夢っていわれても困ってしまうような、覇気がないっ!!と人材教育会社を立ち上げバリバリ働いている同居のオバサン(48歳、これ、同年代なんだけどお、ちょっと一緒にされたくない気もするおばさん)に言われてしまう女の子。父親が会社を早期退職して田舎でそば屋を継ぐ為に両親は田舎に帰っちゃったために独身で、派手好きで、会社経営者のオバサンのマンションに住んで、炊事担当をすることで置いてもらっている。画材屋さんのバイトで一人住まいはたいへんだもん。

 彼女@25歳とそのバイト仲間との価値感と、キャリアウーマンで会社経営者で48歳のオバサンの人生を背負った考え、専業主婦だったのがそば屋の女将になって、適応不全を起こしている母親との対比。そんな中で、たぶんおばさんに語らせている平さんのやさしいけど厳しい若者への言葉。なんだか、おばさん世代の私には、そーだ!そーだ!満載で(あーあ、一緒にされたくない気もするのに)楽しいです。

 そして、画材屋さんのリニューアルと店舗方針の転換で、この子が大きな決心をしていくのです。それを見つめる平さん(いや、おばさんか)の視線がやさしく厳しく、すてきです。ほーんと、働く人を元気にさせる小説を書こうという強い夢じゃなくって、「意志」を持った平さんを感じます。好きだなあ、って再確認します。、

| | コメント (0) | トラックバック (0)

1985年の奇跡

1985年の奇跡

 読む本がみつからなくって手にとった本。青春スポーツ小説かな、と期待値低く手に取りました。1985年って、アタシ、社会人だったけど、高校生の野球部のお話。1回も勝ったことのない弱小野球部に、すごい野球名門校を退学してきたピッチャーが入り、まさかまさかと勝ち続けてしまう。もう一歩で甲子園か?というときに、スタンドからの、「オカマ!」「オカマ!!」のやじで、ピチャーが崩れて甲子園が消え去っちゃう。ここまでが前半。

 受験強化を図っている学校の、劣等性クラスでくすぶっていた野球部員が、うまい選手の加入や、彼のせいで集まる応援団におされて、俄然やる気を出していくところ、16-17歳くらいの、オニャンコクラブ(そういえばありましたね?生き残っている人は少ないけど、えーと、渡辺マリナさんとか、工藤静香さんとかですねえ)で、誰が好みかで盛り上がっている高校生の姿、なんていうのを見ていたら、なんだかそのネタは前半で負けておわり。え?

 実は、そのピッチャー、転校前の野球名門校で、好きな子ができて、相思相愛になって居られなくなったという大告白。問題は、その相手が同性だということだ。21世紀の今じゃなくって、1985年だからね。うわさになって、野球も続けられないし、学校にもいられなくなったと。ふーむ。あれ、そういう路線の小説?で、当然ながらオカマなんて気持悪い、野球一緒にやるなんていやだ、という一次反応の高校生。それから、彼に腹立たしく思う自分たち、なんで、怒る?彼のおかげで、1回も勝てなかったのが、勝てたのに!女子高の応援団もついたのに!?あれ?

 そこから、少年たちの素直な揺れる気持、女子高生たちの気持ちが、あって、ホモでもなんでも、いいやんか!野球やろうぜえ!と展開していく。80年代、ゲイを受け入れられない先生や、大人たちの中で、友達として、チームメイトとして受け入れていく高校生がいいです。そして、セーラー服を、脱がさないで♪の音楽で盛り上がる(笑)、野球の試合!なんだか最後はいい感じで終りました。非野球エリートの笑える奮闘物語です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月24日 (土)

英雄の書(上)

英雄の書 上

 宮部さんの新刊です。

 宮部さんには、3つのパターンがあると考えています。1)江戸物 2)現代物、3)冒険、ファンタジーもの、と私の中では大ざっぱに3つに分類しています。私は2)が楽しいし、1)も結構好きです。3)は、実は苦手。これまでの代表作は映画にもなった「ブレイブストーリー」だと思いますが、実は読んでません。最初の数十ページ読んで、だめだあ、と投げました。

 今度の「英雄の書」は3)だということで、実は読む気がなかったんです。でも、うちのセーネンとオットが読んで、「これは、ブレイブストーリーよりは読みやすいので、かーちゃんも読めるのではないか」というので、そっかああ?食わず嫌いもよろしくないかもしれんなあ、と手にとってみました。

 うーん、まあ2)や1)の、いろんな設定を楽しんでいる私としては、いじめ問題があった中学生のお兄ちゃんが、同級生をナイフで刺しちゃって、行方不明!お兄ちゃんを探そうと、小学校4年生の妹が、書の世界?に入っていく、という設定が「あーあーあー?(語尾をあげて読んでください)」みたいな気分になりますが、テンポの良さは認めましょう。読ませるところも、認めます。まあ、その世界のいろんな前提条件の整理を妹に説明する形で設定している面倒さも、かなりうるさく感じないことはないけど、どこか、「物語を作る」(それは宮部さんが一生の仕事にしていることなんですが)ことをテーマにしているだけあって、うがっているかもしれないけど、「物語は人間が作るものでしょ?」「人の頭の中からできるんでしょ?」というまっとうな小学校4年生の妹の考え、それに対して、「いやいや、物語は、人の頭の中にあるもんじゃないんだ」という前提で動き出す、書と物語のお話が、なんだかちょっと面白いんです。物語を作っている宮部さんが、作ってるんじゃない世界を描こうとして、その設定をしている上巻です。うむうむ。

 

 まあ、ちょっと読んでみるかな、とベッドでめくりはじめた上巻。重いんで、翌日の通勤に持ち越したくないという気持もあって、なんだか夜更かしして読んでしまいました。さて、下巻を手にとる日を慎重に考えないとね。また寝不足が続くと、熊、いや隈が。。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月23日 (金)

透明な旅路と

透明な旅路と

 あさのあつこさんの青春小説系統とは異なる、ミステリータッチというか幻想タッチシリーズの本です。えーと、「弥勒の月」(いつだったか、すでにご紹介)、「夜叉桜」(これもたしかご紹介)の系列ですね。まだご紹介してないこのシリーズとしては、「地に埋もれて」があります。これは、そのうちご紹介します。

 私ね、こういう幻想的なミステリーってあんまり得意じゃないんです。どこまでも超現実的な人間なので、死んだはずの人とめぐり合って、他者からは認識できない特異な体験をして、っていう設定は、「そう設定しちゃったらなんでもできるじゃん」と意地悪にも思ってしまって、あんまりなんです。でも、なぜかあさのさんの本は読みたいって思います。

 なんでかなあ。 

 出てくる人が、何か昔、辛いことがある、それを心の中に閉じ込めたまま成長したり、時が経っている。ひょんなことから(ここが幻想的な非現実的な設定になることが多いんですが)、それを追体験したり、心の中に閉じ込めておいたものが出てくる。そして、もう一度、再生することに繋がる、という流れです。

この主人公は兄を亡くしていて、両親に兄の身代わりみたいに捕らえられていたということがあります。自分の中で、兄に対する気持ち、両親に対する気持ち、自分固有の価値を見出したい気持ち、などが閉じ込められているんだと思います。あることをきっかけに、不思議な子供たちと出会い、時間をともにすることで、自分を再生していく姿です。人は何度でも生き直すことができるんだ、というあさのさんのメッセージが聞こえるようです。青春スポーツ小説系もいいけどね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月22日 (木)

別冊図書館戦争ⅠⅡ

別冊図書館戦争 1別冊図書館戦争 2

 イッキに読みました。有川さんの図書館戦争の別冊。これは、2組の大型(?)カップルのあれこれを、別枠で小説にしたものです。1巻目はもちろんいわずと知れた、図書館防衛隊員の郁こと、笠原郁(170センチを越えるデカイ女性、陸上をやっていて足はめちゃくちゃ速い、身体能力から防衛隊に入る。でも座学は苦手)と、笠原の教官の堂上(彼女よりずーっと背が低い男性、怖いようで、結構単純な男)との恋愛ですね。これは、もう図書館戦争の1巻から、どうも気になる2人だったわけです。

 別冊のⅡは、郁のルームメイトの柴崎(小柄で美人で華奢な図書館情報部員、美人で多くの男はぽーーっとなるが、いやはや、すごい頭が切れて、性格が鋭くって、高慢で、辛らつな女なんだわ)と、郁の同期のできすぎ君である手塚との恋愛話。図書館戦争シリーズを楽しんだファンには、出てくる関係者も、彼らの一筋縄ではいかない性格も、テレもミエも、それまでのあれこれも楽しいので、やっとこうまとまったか、とニタニタしながら、ほほえましく読みます。

 そして何だかおかしいのは、有川さん(著者ですね)も、オットさんと(既婚者らしいんですよ、意外?なことに)あるいは、編集者さんと、彼ら(郁や堂上や、手塚や柴崎ですね)がどうしているかなあ、なんて話して盛り上がっているというお話。え?アンタが作ったんでしょ、って思わないでもないけど、生き生きした登場人物は、どうも一人歩きを始めるらしいです。有川夫妻が、彼らはどうしているかって話して楽しんでいるっていうのが、なんだかいいです。そんな風に、図書館戦争シリーズで親しくなった人たちの、ちょっとした恋愛話。もちろん、何も起こらずまとまるわけはあいので、ちゃんと事件が起きたりします(笑)

 あーあー、読んじゃった!全6巻、楽しかったああ!!

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2009年10月21日 (水)

我、食に本気なり

我、食に本気なり

 ねじめ正一さんの、食のエッセイです。

 ねじめ正一さん、高円寺の雑貨屋さんっていうのはあちこちで書かれていらっしゃるので存じ上げておりましたが、ご実家は乾物屋さんって、知りませんでした。乾物屋さんですから、乾物食べてますねえ。その乾物を食べて育った味覚と、時代的なものが彼の舌の趣向にすごく出ていて面白いです。

 食に関するその人のこだわりとか好き嫌いとか、のエッセイってすごく面白いなあって思います。別に高級品や、グルメなものじゃなくって、人の好き好きってあるから、そういうのを読んで、うんうん、おいしいよね、とか、えーえーえーえー!?(かなり同意できない場合)とか、うふふ・・なんてその食べ物にまつわる気持や思い出を読んだり。でもまあ、食いしん坊の本だと面白い。(まあ、食いしん坊じゃない人は、食のエッセイは書かないだろうね)

 読んでる本に関するエッセイも面白いけど、それは少しでも本の趣味がかぶっている場合限定で、まるで知らない分野の本ばっかりだったら、あんまり面白くないでしょ。食は、いくらなんでも、まったく知らない食べ物ばっかり、っていうことはないからねえ。まあ人間なら、どこかかぶっているもんね。で、日本人で、時代が近ければ、かなりかぶってる、それを読んでると、へえへえ、って思うことや、そうだよねえ、っていうことがいっぱいあって、なんだか楽しいです。おじさんだし、かなり年代は彼が上だけど、結構楽しめます。やっぱり食いしん坊のご様子です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月20日 (火)

1泊2日の小島旅

1泊2日の小島旅

 日本って島が多い国なんだなあ、って思います。この本は、ちいーーーさな島(周囲で10km以下っていうから、直径でまあ3キロくらいですね、丸とは限らないけど)の旅の記録です。もちろん、無人の、泊まれない(野宿しかない)島は、いっぱいあるんでしょうけど(だって岩の大きいような島?岩?みたいのいっぱいありますよね)、小さくって、一応、ヒトが住んでいて(だから、宿が1軒以上はあった)、生活の場としての島っていうのが、結構あるんですね。そして、定期船とかが、まあ小さい船ですが、あるわけです。

 島っていうだけで、ちょっと非日常な気分になりますが、生活者にとっては、当然ながら日常。観光地でもなければ(観光地のことが少ないですね)、釣り客くらいしかあんまり来ないので、ひじょーーーにのんびりした島で、たいがいは高齢化していて、漁業が中心。そういう島めぐりの本です。何するわけでもなくって、島をぶらぶら歩いて(ほら、すぐ半周できちゃうから)、宿にとまって、たいがいが他にお客さんがあんまり居ないので、宿のおかみさんと一緒にしゃべって、豊富な魚類を食べて、翌日、あと半周して、道で会うおじさんやおばさんとしゃべって、みたいな旅なんですけど、なんだか、いいなあ。こういう旅って。

 やってみたいなあ、へえ、こんなところから船が出ているのか、意外と近いんだなあ(あたし、船酔いがひどいので遠いのはダメです)、行かれるかなあ、なんて思いながら楽しみます。こういう旅はやっぱり一人がいいなあ、一人で小さな船にのって、島。宿のおかみさんとしゃべりながら、その島で獲れた魚をいただいて、海を見て、ぼーーーーっとするような旅、いいなあ、ほおお、と空想する本。楽しいなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月19日 (月)

図書館革命

図書館革命

 有川さんの図書館シリーズ、やっとやっと4巻まできました。堂上篤と笠原郁のラブストーリーとしてのお楽しみの面、メディア良化法と図書館の自由の問題、この2つが進んでいきます。たとえば「片手落ち」っていう言葉ですが、中途半端であるいは、一方のことしか見てないで、不十分なことを差す言い方ですよね。これって、差別用語!?!?!?本当に手が1本しかない人に対する差別だ、ということで使えないですって!アホなあああ!!

 というような現状、この本の正化○年からは、数十年前の時代として描かれている現代に、そういう言葉狩りがあって、多くの人がそれに無関心だったことが、メディア良化法を通してしまった背景にあることを描いています。そして起こったのが、原発テロ。敦賀(福井です)の原発でメルトダウンを狙ったテロが起こるのですが、そのテロが、ある小説の設定とそっくりだったということがわかります。それはテロ犯(あるいは組織)が、その小説を模倣した、参考にしたのであって、悪いのはテロ犯なんだけど、その小説家の本のみながず、その小説家が悪いと狙われるようになります。悪いのは、差別語なのだ!!言葉なのだ!!差別する人間の心じゃないのと同じ論理ですよね。

 彼を守ろうとする図書館防衛隊の戦いが始まります。

 設定は、意表をついているし、なかなか激しい戦闘があったりするんですが(笑)、やっていること、言っていること、すごーくマトモでうなづけます。差別語狩りが激化するのに対抗して、差別語と言われる言葉を一つも使わないで、おもいっきり差別的な文章を書く試みとか(つまり、差別は使う言葉の問題じゃないんだ、という証だね)も、すごく楽しい。もちろんラブコメ部分も、いっぱい笑えて楽しめます。楽しかった、全4巻!

 別冊が、2つあるんだよね!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月18日 (日)

ラン

ラン

 森絵都さんが、直木賞(だっけか)受賞後の第一作として書いた本。走るねた?なんだけど、今度は自転車で走り、それから自転車を返さなきゃならなくなって、足で走ることになる。

事故で自分以外のすべての家族を失い、その後、同居してきた叔母さんも病死し、バイトを転々としながら、友人もなく、無為な生活を送っていた20代の女性が、あるきっかけであの世の家族に会えることがわかります。ただ、会うためには、40キロを走って行かなきゃならない。最初は自転車なんだけど、自転車がなくなったら、足で走らないと会えない!それをきっかけに、下界のいろんな人と出会い、最初は5キロも走れない状態なのに、少しずつ乗せられて走り、40キロ走って死んだ家族に会うことが目的だったはずなのに、死んだ家族なしでも、だんだん生きられるようになっていく姿です。

 とっても軽いタッチで書いているし、登場人物はどうも劇画的な感じもして、すごくいい小説って、私は思わないんだけど、こういう本で元気を貰う人も実は多いんだろうな、そして、それは結構単純だけど、有益なことなんだろうな、と思う一冊。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月17日 (土)

図書館危機

図書館危機

 有川さんの図書館シリーズの3巻目。

 ねえ、「床屋」って差別用語なの?オレのジーチャンは、床屋なんだ。オレは、両親の離婚で両方が引き取りたくないって捨てられて、この床屋のジーチャンに人間にしてもらった。ジーチャンにとっても感謝しているし、尊敬している。っていうのに、「床屋」っていう単語は使っちゃいけない!?

 「理容師」あるいは「散髪屋」って置き換えなきゃ、メディア良化委員会による本狩りにあってしまう。それって、「床屋」を逆に差別してない?ジーチャンは、床屋を50年も60年もやってきて、床屋の仕事に誇りを持ってやってるんだよ、なんで床屋じゃいけないのか!!という話になります。

 これを、影響力のあるトップアイドルタレントが、これまで語らなかった自分史のインタビューを本にしたものについて言い出した。さて、この「床屋」を守り、本を守るためにどうしたらいいんだ!という話しが一つ。これ、結構いい話だなあ、って思うんです。差別をなくすのは、差別的な言葉をなくすことじゃないんだよ、言葉狩りは、差別そのものなんだ、っていうことを、有川さんは大上段に構えず、笑えて微笑んで、ちょっとホロっとくる話にして楽しく展開してくれます。いいよなあ、これ!

 そして、もう一つの逸話もいいです。ほんとのドンパチがあって、人が怪我したり撃たれたりしちゃうんですけど(図書館の戦いですから)、主人公の笠原郁と両親の問題、図書館の自由を守る戦いに対する人々の反応、無関心がどれほど怖いことか、自由っていうのは、与えられてきたものじゃなくって獲得してきたもので、それを大切に守ることがどれほど難しいし、大事なことなのか、という話です。

 想定は正化○年という未来なんですが、(だからSF小説っていわれがちかも)、メディア良化法と、図書館自由の問題、結構、現実的な話だと思うんですよ。図書館防衛隊が最新の武器でドンパチやるかどうかっていうことじゃなくってね。

 3巻目ともなるとキャラがイキイキ動いて、もう知り合い状態。郁の恋も気になるけど、私は手塚と柴崎も気になるなあ。さてと、次、行ってみよう!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月16日 (金)

雅子さまはあなたの一緒に泣いている

〈雅子さま〉はあなたと一緒に泣いている

まあ、タイトルは売らんかな、のタイトルなんだけど、皇太子妃の最近の適応障害のことをあれこれ、憶測で書いているだけの本ではないです。(最初は、そうかな、って思ったのだ。香山さんと、皇太子妃に面識があるとも思えないし、報道されたことだけを元に精神科医があれこれ言うのは、どうかなあ、って思って読み始めたんだけどね)

 皇太子妃に象徴されるけど、昨今の結婚事情、特に働いて自分の仕事にそれなりの誇りと、ある程度のこだわりをもっている女性が結婚して、結婚とか、婚家とか、オットとか子供とか、そのもろもろ面倒ないろんなことがついてきて、その中で、苦労したり、引き裂かれたりするような気持ちっていうのを、いろんな事例をあげてご紹介して、それを超えて生き抜く方法みたいのを、考えてる本っていう形になっています。まあ、普通の人の婚家は、皇室じゃないし、マスコミも取り上げないし、うるささも、面倒さもケタはずれに違うと思うけど、本人にとては、大問題だっていうことはあるよね。

 味方だと思っていた、実家や、あるいはオットが全然味方にならなかったり、自分を余計苦しめるものになったり、仕事だってちゃんとしないとならなかったり、男だったら、「仕事が忙しいのね」的に、ある意味、勲章的に見られることもあるヨレヨレの格好も、女性だと「だらしない」になっちゃったり、ふんだり蹴ったりってだよね、というお話。

 

 そして、泣かないための7つの心得として、

○二倍働き、優雅ではいられない

○親の問題を引きずり過ぎない

○常に女友達をキープする

○オットに人生のすべての決めさせない

○自分がもし小姑、姑だったらと考える

○科学も技術も使えるものは使う

○他人はあなたの人生の責任は負わない

をあげています。女性は、マジメな傾向があって、ヒト一番努力したりするんですけど、それでも「女性らしく」なんて都合のいいことを言われて、その気になって、そうでなければダメみたいに思っちゃうし、親がどうのとか親がこういったとか、無言でも親の期待に応えようとしがちで(雅子さまは「父の娘」ではないかというのが香山さんの分析ですが)、次に他人(親戚も含めてだ)のあれやこれやに右往左往し、苦労して気に病んで、病気になっちゃうことないように!っていう話しです。なんだか身につまされる例、いっぱいありますねえ。ほんとに。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月15日 (木)

アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書

アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書

 アメリカの高校生シリーズも、何冊かご紹介してますがその「資産運用」編です。といっても、本当に投資信託とか、国債とか、いわゆる運用系の超入門編が出てくるのは最後の方だけで、このアメリカの消費者教育の問題意識が、資産運用なんていうのではなくって、借りた金には利子がつく、リースの分割払いという甘いワナで払うのは、実はその物を買うより、数倍もソン!とかそういう資産以前の、自己破産数百万人というのをいかに減らすかというところにあるので、資産を運用するという以前の問題です。

 日本の自己破産は、増えたといっても20万人居ないと思います(正確な数字は知りません)、でも、人口が2倍弱のアメリカでは、200万人とか300万人とかなんですね。いかに、カード社会、小切手社会、そしてリースという名の甘言社会で、その中で、基本的なことがわかってない人が多いってことですね。

 よって、この本で、自分の資産(貯金なり、株なり、不動産なり)をどう運用しようかと学ぶことはできません。

 あたし、こんな仕事しててなんですが、実は*自分の*お金のことはとーってもとーっても面倒くさい。たいして贅沢したい願望もなくって、普通に働いて、普通に食べて、まあ、普通に地味な消費生活をさせてもらえばいいから、面倒なことは考えたくない!!というのが本音です。旅行くらいはしたいかな、あとは、贅沢なものは何も要らないです。日常的な庶民のものだけあればいい。でも、半世紀近く生きている大人だと、ほれ、家だ、ほれ、教育費だ、ほれ老後の資金だって、あれやこれや、考えなきゃいけないらしくって、面倒だったらありゃーしない。たしかに、借金まみれになりたくないし、利子がかさむことくらいはわかってます。でも、投資だとか、株の上下だとか、そういうことを考えて暮らしたくないんだよ。もっと楽しいことを考えて暮らしたい!

 なんか現代人って、面倒だなあ、そういうことを「自己責任」だとか「自己管理」とか言って管理できなきゃいけないみたいに言われて、うーんざり。ほんとにそうなの?1億3000万人、不動産屋さんでもないし、トレーダーでもないんだからさあ。

 そんな疑問を持つ昨今なんですが(だから、儲ける本系は実は大嫌い、楽しくないんだもん!)、このくらいのことわかってないと、ネズミ講だとか、甘言に乗るリボ払いだとか、そういうのにはまるんだろうなあ、って思う。カードも、当座預金も小切手もなくって、お金もお財布にあるだけみたいなのが楽チンなんだけどね。21世紀には望むべきもないよな、って、アタシ、一応、金融関係のコンサルです。とほほ…

 ここで、これは資産運用だけじゃなくって、もう一度ちゃんと確認した方がいいなって思ったのは、5段階の意思決定モデルです。

 1)直面する問題を特定する

 2)選択肢をリストアップする

 3)判断基準を決める

 4)選択肢を判断して基準にしたがって評価する

 5)選択肢の中から1つを選ぶ決定を行う

です。この順番が、特に、「どうしても○○したい」(あれが欲しいんだよおとか、いう欲望)優先の場合に、5)が先に決まってしまうんですね。だから間違うわけだ。うーむ、もう一度、ほら、カードを切る前に、いや、何かを決める前に考えてみよう、この意思決定の5段階。なかなか厳しいですよ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月14日 (水)

円朝(上)(下)

円朝〈上〉 (河出文庫)円朝〈下〉 (河出文庫)

 

 江戸時代の終わりから、明治時代に活躍した、三遊亭円朝さんという名人の落語家さんの伝記です。この人のこと、私は全然知りません。だって、録音したものも残ってないですから(って、CD聴くだけの落語の知識なんで)。

ウイキペディアではここ

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%81%8A%E4%BA%AD%E5%9C%93%E6%9C%9D

 この方が、自分の噺をどう作っていくか、っていうことを悩みます。人気がでるのは、人情噺みたいな創作の男女の噺なんですけど、それが本当にヒトの心に残るんだろうか?その場で受けることを優先していていいのだろうか?と悩みます。

 もちろん、テレビも映画もない時代、寄席に行くのが庶民のタマの楽しみであった時代です。その場で、笑える話を聞いて、わははわははと笑う時間も大切です。でも、そういう噺ばかりやっている自分、自分の芸は何か?ということに悩みながら、ご自分の道を究めようとする姿、落語とは?芸術とは?という問いかけが何度も何度も出てきます。

 この作者は小島さんという方。小島さんの祖父が、円朝さんと寺子屋で友達だったという縁があり、円朝さんのこともすこーし知っている間柄です。小島さん、ご自身も、古典芸能に造詣の深い国文学者なんですけど、売れっ子になったのは、比較的通俗的な小説だったようです。彼自身の、売れるものと、自分の核となるもののギャップに悩む意識が、そのまま円朝さんの、売れる噺と、芸術への憧憬ということとして、この伝記に色濃く出ています。

 

 今は、テレビのお笑い(芸にもなってないものも多そうだけど)や、いろいろな娯楽がある中での落語っていう位置づけだけど、他に娯楽が少ない中では、寄席がいろんな役割を担っていたことは確かでしょう。その中で、伝統ある古典的な噺、世相を反映したオリジナルな話、もちろん、ちょっと色っぽい話や、漫談に近いもの、いろんなものがあってこその楽しみ。自分はなにをして、何を磨いていけばいいのか、そういうことを悩み続ける円朝さんが居ます。落語家じゃなくっても、きっと同じこと。自分の打ち込む仕事に真摯に(でも、まあ、いっぱい遊んでいるようですがね)取組む、一人の噺家の人生です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月13日 (火)

どんとこい、貧困!

どんとこい、貧困!

 あの、派遣村で有名になった湯浅さんの本です。

 ホームレスの方や、派遣切りにあった方、あるいはネットカフェ難民といわれれるネットカフェなどを宿にしている方、その方たちを知り、話しをしていく中で、これは「自己責任」なんていう問題じゃないんじゃないか。と考え始めた湯浅さんが居ます。

 「だって、いつきられるかわからない契約労働なんだから、どうして将来に備えておかなかったの?」

 「そういう仕事を選んじゃった自分の責任じゃないの?」

という自己責任じゃないかという発言も多いこの問題について、そういう発言をして、自己責任とすることはどういうことか?ということを、中高生にもわかりやすく、決して一方的でも、押し付けがましくもなく、説教でもなく書いています。よりみちパンセシリーズの一つです。

 たとえば、イスとりゲームを考えて見てね、っていうのです。音楽が止まると同時にイスに坐らなきゃ負けで退場となるイスとりゲーム。10人に8個のイス、というように最初から足りないようにしているよね。世の中、このイスが7個、6個、5個って減っているんじゃないの?全員がなんらか坐れるようにしないでいいの?あぶれちゃった2人の自己責任なわけ?じゃあ、イスが10人に1個になっても、9人は自己責任なの?そういう世の中にしていっていいの?っていう問いかけです。

 私は、実は、全員がどういうことであっても、救われる社会ってありえるのかな、という疑問も持っています。全員のイスが必ず用意される社会って、実現可能なんだろうか、っていうことですね。ほーんとに、全員となると、あまりにもどうしようもないいろいろな要素を持った人が入ってくると思うからです。ある意味、共産主義の失敗の部分が、全員に分け与えられる(はず)という考え方があって、*だから*効率的に、必死に働くかなくなっちゃったといわれている部分ってありますよね。働いても働かなくても分け与えられるのであったら、働かなくなっちゃうだろう、という考え方ですね。でも、イスの数をできるだけ多くしようとする方向を向いていない、逆に少なくしていく社会はおかしいと思うんです。だって、人間のために社会があるのであって、社会のために人間があるんじゃないですよね。だったら、人間が坐りやすい、坐れるように考えていくのが当たり前じゃない?

 私は、「活動家」さんは、嫌いなんです。正統なことを言うからです。まっとうなことを言って、まっとうなことを声高に言うことによって人を糾弾したり、批判したりすることの大好きな人は、実は大嫌いで避けています。そのまっとうさが鬱陶しいから、祭り上げられて、すごいすごいと、棚の上に乗せられている人が多いと感じています。本人、楽しそうなことも多いんですが、なんで棚に乗せられていることに気づかないの?気づいていて女王様か王様気取りなの?っていう人も、特に女性に多いように思って、苦手であります。あー苦手!まっとうなことを声高に言い出したら、そーっと離れていこうと思っています。もっと、でもねえ、えへへ・・っていうところが誰にでもあるのが当たり前じゃないかと思うからです。(まあ、そういうのも声高に言ってる人も居ますけどね) でも、湯浅さんは、たくさんの失敗や挫折を経て、なんだかまっとうなことを声高に言うのではない人間を感じます。変に自信をつけて、声高に言う人にならないで欲しいなあ、って思います。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2009年10月12日 (月)

図書館内乱

図書館内乱

 有川さんの図書館戦争シリーズの2巻目。あれやこれや、揉め事が起こるなかで、笠原郁というまっすぐで単純で、熱血で、でかい女性防衛隊の奮闘、画策の中で、ひたすらまっすぐに怒り、憧れ、友人を大切に思い、行動している姿が、単純なだけにわかりやすく(笑)、共感できます。寮で同室の柴崎っていう美人の図書館業務員が、なにやら情報通で、あれこれ頭の回転もいいタイプなんですが、そんな笠原を大切に思うのが、よーくわかります。そして、内乱とか戦争とか物騒ぎなタイトルですが、基本、ラブコメでして(大笑)、憧れの王子様が居て、上司とのかけあいも、切れ者の手塚(同期の男性)とのやりとりも楽しい。

 タイトルは仰々しく、戦闘もの!?っていう感じですが、小説はなんだか、笑っちゃう楽しさで、分厚い本かかえて、ベッドで読みながらニタニタニタニタしております。隣では、オット(50歳にリーチかかってるおじさん)も、私の読み終わった「図書館戦争」(第1巻)を持ってニタニタとラブコメを楽しみ、なんだか平和な時間です。

 というわけで、次が図書館危機?次が図書館革命?なんだかすごいタイトルです。

あ、メディア良化委員会の図書の検閲から、図書の自由を守ろうというある意味、すごく重要なネタなんですよ、これ。差別語問題とか、放送禁止用語とか、いうのがすでに現実になっているからこそ、この本の自由っていう問題、全くの絵空事として読めないですよね。という点を見ると、かなり問題提起型の小説じゃあないでしょうか。なんて言ったら有川さん、驚くでしょうね。そんなお話。楽しいです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月11日 (日)

江戸前の男

江戸前の男 春風亭柳朝一代記

 えーと、i-podを買って、走りながら聴いているということを書きました。

2009年4月19日ね。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-5cfb.html

 いやはや、走行距離は対して伸びません。せいぜい、週に10キロか15キロ、全然走らない週もあるし、気分よく走る週もあります。今のところ、マシンばかりで(ジムで走るから)、落語と音楽を交互に聴きながら走っております。走るって不思議です。自分では気づかないくらいの体調を、走ると感じます。今日は体が軽いなあ、とか体が重いなあ、とか走ってみてからわかります。いくら時間があって、走る気で初めても、体が重いなあ、なんていう日はさっさとやめて、「はよ帰って寝よ」になってしまいます。逆に気分のいい日は、パカパカ(←馬かよ)走ったり。

 落語も、無料のダウンロードサイトからダウンロードしたり、図書館のCDの棚から借りてきたのを落としたり、といろいろ聴いています。ただ、音だけなので、話や口調は覚えるのですが落語家さんの名前は、まだよくわかりません。だいたい、襲名したりして名前が変わるし、同じ名前で複数の人がいるし、似たような名前が多いし、顔はわからないし、高座を聞くのに名前は関係ないので、ちっとも認識できないんですね。

 よって、落語家さんについては、詳しくなりませんが、噺は少しずつ「これ、別の人のを聞いたなあ」なんてわかるのも出てきました。いや、噺というのは、ものすごく長いのから、短いのまで、古典といわれるのから、新作、創作までいろいろあるもんですわ~

 というニワカに落語を聴いてるところで、落語家さん関係の本があると、ちょっと目にとまるようになってます。これは、昭和30~40年代に大人気だった(らしい)5代目春風亭柳朝という方の伝記風の小説です。離婚で話題になった小朝さん(CDを聴くと、ものすごく落語は上手です)の一門のようです(苗字が同じだわ)

実は、私、テレビもあまり見ないし、笑点ってみたことがないくらいなので、こういう方、全然知りません。現在、お若い方で同名の方がいらっしゃるみたいですが(検索してみた)、その方は6代目で5代目の孫弟子さんみたいです。

 この方の、やんちゃでわがままで、結構だらしなくって、お金にもルーズで、女にもルーズで、でも落語が上手で、噺がうまくて、憎めないところ、へえへえ、落語家さんってこういう風に弟子入りして、修行して、二つ目になって真打になって、(二つ目があるのに、一つ目も三つ目も、もちろん四つ目以上もないのも、なんだか不思議)、なんていうあれやこれやを楽しみながら読みます。途中、取り上げられている噺の中には、あーこれは聞いたことがあるっていうのもあるし、まだ知らないのもある。落語の世界、ちらっと覗き見しているくらいだけど、結構おもしろい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%A5%E9%A2%A8%E4%BA%AD%E6%9F%B3%E6%9C%9D

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月10日 (土)

図書館戦争

 有川さんのシリーズ、やっと1巻を読むことができました。だいたい、普段利用している図書館っていうのと、戦争っていうのが、なんだかそぐわない概念じゃないですか?なんで戦争なの?っていうところからスタートです。

 本に対する検閲が厳しくなって、なんだかくだらないことですぐ本が没収されたり、廃棄されたりすることになった近未来(笑えるようで、笑えないんですよね、これが。だいたい言葉狩りの向こうには、こういう問題があるんじゃないかと思えて)、図書館がその自由な表現を守るために、装備をはじめ、図書館防衛隊を置くようになった、その図書館の防衛隊に入隊した女の子が主人公。いや、はじめは、訓練している実習生なんだけど、高校時代まで陸上で鍛えた、170センチを超える大柄な身体で、ぬきんでた身体能力をもって精鋭部隊に配属される。カラダはいいんだけど、座学は苦手で、図書館防衛隊のこれまでの歴史とか、法律とか、いろいろ忘れちゃってる。その辺は、エリートの同僚もいたり、どうも小柄だけど、つっかかってくる上司もいたり、キャラクターを書き分けるのも楽しいです。同期の女の子には、美人で、頭の回転はすごくいいんだけど、毒舌の柴崎さんなんていう面白い子もいて(事務職部門に配属)、いろんな情報通だし、図書館にある「問題図書」をなんとか捨てようとする勢力から、戦いで図書館の本を守ろうとする防衛戦があったり、ドンパチもあります。

 設定が奇抜?って思うかもしれないけど(まあ、ドンパチという設定はそうかも)、それに、青少年に残酷な本や悪い言葉(!!)の本を見せないようにしようとする合法的活動と、図書館を守ろうとする防衛隊の合法的活動が両立しているというところも、奇抜なのかもしれないけど、なんだか、とてもある意味縮図になっていて、面白いです。図書館の自由な借り出しを受けようとする子どもたちを処罰するかとか、おためごかしをいって、自主性を重んじようというのに、実態は全然、子どもを信用していない大人たちの様子とか、有川さんが描く、気が強いけど、なんだかかわいい女性隊員たちとか、楽しいシリーズ1冊目。内乱、革命、なんとかで4冊、別冊2冊あるそうで、どんどんいきましょ!

図書館戦争

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 9日 (金)

パリの女は産んでいる

パリの女は産んでいる 〈恋愛大国フランス〉に子供が増えた理由

 フランスって、先進国の中では、唯一アイルランド(カトリック国だから事情はちょっと違う)と出生率の高さを競っている国だそうです。これは、パリに13年だか住んで、37歳で一人目の子供をパリで産んだ女性(オットさんはフランス人)が、2人目を日本の実家で産んで、その違いを体験し、つらつらと書いたエッセイです。決して、統計などを使って分析したものじゃないけど、へえ、なんていうことがあります。そして、初版は2005年ですから、少し前のことです。

 3人くらいまでは働いて当たり前、出産費用、保育費用、はてはエイン引き締め体操まで公的補助が充実しているフランスの出産・子育て事情の充実ぶりを紹介しています。その根底にあるのは、女性が女の子から一挙におばさんに進化する日本とは大きく異なり(だって、20代前半でOLとして働いていると「女の子」扱いで、結婚出産するとすぐに「おばさん」扱い、っていうレールがあったよね、いやあるよね)、いつまでも魅力的な「大人の女性」であることが、求められる社会のことを書いています。特別なキャリアを持つ人や、女優さんじゃなくって、普通の人が「大人の女」であることを認められると同時に、「求められる」社会なわけだ。なーるほどねえ。

 すごいなあ、って思うし、いいなあって思うし、ステキだなあって思うんだけど、ここまで個の魅力をアピールしつづけないと人間関係が築けないっていうのも、実はたいへんなんじゃないかなあ、とぼーっと暮らしている私は思います。こういうところで、ずぼらで綺麗にも魅力的にもしてなかったら、あっという間に捨てられちゃうわけ?(大笑)なんだか気を抜けないような、厳しさも感じます。もうちょっと気楽にしてたいかも。お綺麗でも魅力的でもない自分を振り返って思います。

 ただねえ、たくさん産んでいる国だけど、根底にあるのは「産む産まないは女性の自由に完全に委ねられている」ってことに注意が必要。中絶の自由、ピルの完全自由化、そしてシングルでも既婚でも、父親以外のパートナーとでも、子育てがしやすい環境が徹底的に作られている。どこぞの国で大臣が「産む機械」と言ったように、産めよ産めよとは言われないし、プレッシャーをかけられない。完全に選択の自由、でその自由の中での選択を徹底的に応援しますよ、っていうスタンス。決して、働くおかあさんだけじゃなくって、専業のおかあさんも保育所を活用して、子供から少しの時間はなれることができたり、専門家の意見を聞けたり、お母さんの友達ができたり、働いている働いていないに関わらず、そして、シングルでも既婚でも、離婚でも、事実婚でも、お母さんをサポートしようとする体制がいっぱいあります。さすがあ、とこの点はすごくうらやましいし、絶対にぶれないで欲しいすごいところだ。あくまでも、個人が個人の幸せの選択としての出産や子育てであるわけ、社会のためでも、少子化対策のためでも、国が滅びないためでも、GNPのためでもないのだ、子供を生み育てるってことは。だけど、惜しみなく支える、そこだよね。個人が個人の幸せの選択として産むっていうと、じゃあ、子育ては個人の責任ね、働けない?そりゃ、あんたが勝手に産んだからでしょ、たいへん?わかって産んだんでしょ、知らないわよ、っていうのじゃないのよね。すごいわ、さすがだわ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月 8日 (木)

架空の球を追う

架空の球を追う

 森絵都さんの短編集です。

 短編っていうのは、いろんなスタイルの作品を試しに書いてみる、っていう面があるのかなあ、なんて思っちゃうくらい、いろんなパターンの短編をトライしている、と思う作品集。好みもあるんだろうけど、あたりはずれがあるなあ、と思うわ。アタシのあたりは、2編くらいかな。

 彼女と同年代くらいっていう女性を登場させて描いているものは、なんだか気分とか、ありうりそうな会話やシチュエーションがあって、過去や未来に関する思いなんかも、不自然じゃないし、楽しんでる感じがするんだけど、彼女から設定が大きくかけはなれている場合に、その設定の世界にすーっと入れるほどのインパクトはないし、世界を作り上げるほどの分量はないしで、どうも中途半端。たしかに短編って難しいんだろうなあ、お疲れ様、みたいな本。

 書評とかでは、森絵都マジックにはまるってあるけど、アタシにはそういうことはなかったです。残念、はめてくれ~

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 7日 (水)

海の底

  有川さんの「空の中」と一緒の自衛隊3部作の1つです。

 えーと、空の中は、8月16日にご紹介してます。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-b346.html

 海の底ですから、潜水艦の話で、なんだか横須賀の海に巨大なザリガニのお化けみたいな生物が大量発生して(!!)、子どもたち十数人と、潜水艦の実習に来ている若い隊員が、潜水艦の中に閉じ込められちゃうという状況のお話です。潜水艦は、湾から全然動かないし、人間の戦争があるわけじゃなく、子どもたちと自衛隊員が潜水艦の中で、救助を待つ数日のお話です。

 有川さんと潜水艦といえば、潜水艦乗りとの恋愛話の、クジラの彼を以前にご紹介しましたが、その男性が、この海の中で閉じ込められた隊員の一人です。あ、本の順番は逆で、海の中で出てきた男性の恋愛を書いたのがクジラの彼っていうことになるわけです(私の読んだ順番が逆だったのだ)。

 えーと、クジラの彼は、8月5日ね

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-6382.html

 横須賀に巨大ななんだかものすごく獰猛なザリガニのお化けが出現して、人を食っちゃっているという設定は、なかなかすごいんですが、物語は閉塞的な空間の中での、子どもたち(小学生から高校生までの子ども、女の子は最年長の1人のみ)と、自衛隊員2人(ともに男性)という状況の中での、救出されるまでのいろんなお話。子ども同士の人間関係、いつ救出されるかのイライラ、狭い空間、十分でない水や生活用品、自分たちで自炊しなければ食べられない(幸い食料はある)生活、子どもの力関係(町内会の子ども同士という設定)、その中のかわいい恋心。一人ひとりのキャラクターがあって、気持ちがあって、葛藤があって、楽しいような、まだるっこいしいような、イライラするような、ちょっとうれしくなるような、いろんな気持ちになって楽しんで読みます。会話のテンポも、相変わらず楽しいです。

自衛隊ものですが、ザリガニとの戦いはあるけど、基本的に戦争ものじゃないです。SFものなのかもしれないけけど(想定がすごいので)、でも、やっぱり人間の物語。救出された後、数年後のエピソードも、ちょっとうれしい。楽しんだ一冊です。

海の底

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 6日 (火)

塩の街

塩の街

 手に入るところから読んでいる有川さん。これは、表紙はまるでマンガ、珍しく自衛隊ものじゃないなあ、なんだか人間も世界も塩になっちゃう(塩化しちゃうんだよ)社会で、なんとか生き残っている2人、というのが出てくるSFチックな小説なんだけど、ちゃんと後半は自衛隊が舞台になっていきます。有川さんって、戦闘機が好きな人なのかな、そのあたりの描写になると、もう夢中!っていうのが伝わってきます。

○自分や自分の大切な人が命を落としても世界が救われる

○自分と自分の大切な人は世界が滅びるまで永らえる、でも世界は救われず、滅びる

 という究極の選択があったら、前者を選ぶか、後者を選ぶか?有川さんは絶対に後者を選ぶというのですね。私もたぶん、後者の人間なんです。そして、後者であることを、まあ、自慢して言うほどのことじゃないかもしれないけど、「すいません、すいません、でも、後者です。後者は譲れません」って、最後まで言える世の中であることをやっぱり望みます。ほんとは後者でも「お国のために」前者のフリしないと非国民になっちゃう世の中は絶対にいやです。だから、後者です。堂々と後者でいたいです。

 そんなことを考える小説で、恋愛物も相変わらずかわいい。SF苦手な私もちゃんと大丈夫です。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年10月 5日 (月)

NO.6 (6)(7)一気読み

 あさのさんの、NO6、文庫が(5)までで、(6)からはイラスト入りの大きな版になります。(8)は図書館で、予約が立て込んでいて、入手できないのですが、(6)(7)は一気読み。2冊でも、時間的には、ほーんのちょっと。矯正施設に侵入したネズミと紫苑の2人が施設内を進んでいって、長老に出会い、昔のNO6ができた頃の話を聞いて、さらに進んでいく数時間のことに過ぎません。このテンポでしか時が動かないとなれば、いったい、どうなるんだろう!?というくらい。紫苑に出会ったことでかわっていくネズミ、NO6のエリートから脱落して、逃げ込んできて、ネズミたちに出会ったことでかわっていく紫苑とかわらない部分を抱えている紫苑、その生きている気持ち、そんなのも出尽くした感じ、次はどうなるんだよ、早く展開してほしい気持ちにさせる繋いでいる(6)(7)です。うーん、これ、どんどん読めないと、こっちの気持ちが続けないかも。

NO.6 #7

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月 4日 (日)

銀二貫

銀二貫

 「八朔の雪」でその人情物語にノックアウトされた高田さん、この銀二貫もなかなかです。大阪の寒天問屋(という実に地味なご商売)が舞台です。そこに拾われる、武士の子供、親は仇討ちで殺されてしまいます。

 問屋の主人と、番頭、どちらも独身で、地味なつましい商売をしている2人、やっとためてためて寄進しようと思っていた銀二貫を、その仇討ちを買うことに使ってしまいます。10年もかけて節約して節約して貯めたお金、でも、人情には厚く、人にはやさしく、商売は厳しく、誠実に働く江戸の庶民たち。そこで助け合って、思いやって、誠実にまっとうに工夫を重ねる仕事振り。なんだか、なけてくるいくつもの話、一人もイヤなやつのいない登場人物、無名だけど、すてきな人たち。やっぱり高田さん、うまいわ。

 前作は山口に行く時に読んでましたが、これは岡山に行く飛行機で読んでました。いや、朝からJRで読んで、空港のラウンジで読んで、ずーと、ずーっと読んで飛行機の中で読み終わったんですけど、なんだか、ちゃんと働き、ちゃんとつましく暮らし、ちゃんと生きていこうよな、って朝から思える、そしてとても気持があったかくなるいい本でした。高田さんにやられっぱなし。和菓子の話題も楽しい!恋愛ネタもあるよ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 3日 (土)

私の男

私の男

 えーと、賞(芥川賞?直木賞?)をとって話題となった作品ですね。特段、手配して読む気はなかったんですが、図書館でふらーっと歩いていたら棚にあったので、そういえば、賞をとって、話題になったなあ、と手にとってみました。

 受賞作品ですから、あれやこれや言われているのは知ってますが、この作品にあんまり興味がなかったので、全部忘れてます。

 暗い話です。奥尻島で震災に会い、家族全員を失った9歳の女の子が遠い親戚となのる25歳の男性@独身、海上保安庁勤務に引き取られます。彼の養子になって、親子のような生活が始まります。そこから、男性と彼女との生活、孤独、寂しさ、いろんなものを抱え込んだ2人が、2人で傷をなめあって暮らしていくところ、2人の関係を解消せよという人を結果的に殺してしまい、逃げるように東京に出てきて、彼女が派遣社員として働く会社で、180度違う、健全な坊ちゃんと結婚して、擬似親子の関係が終るまでのあれこれ。

 なんだか、しんどい小説です。背負っているものが重くて、辛くて、孤独で、ひりひりすることはわかるんだけど、ここまで内へ内へ入っていかないで、解決していく方法もいっぱいあるだろうにと思います。内へ内へ入っていくことが、何の幸せにも結びつかないのになあ、って思います。

 ただね、小説としては、つまんなくないんですよ。なんだか、読ませるものがあります。ウキウキしないどころか、鬱々しちゃいますけどね。ちゃんと読める、ちゃんと旨いところのある小説です。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年10月 2日 (金)

聖女の救済

聖女の救済

 東野さんの新作です。といっても、この人の本は、図書館で3ケタの予約が入るので、ずいぶん前に出たものかもしれません。

 あるIT関連会社の社長が自宅で、一人で、コーヒーを飲んでいて倒れます。どうも、毒物らしい、ということになるが、どの毒物のしかけたところ、仕掛けた人がわからない。誰がどうやって、自分で入れるコーヒーに毒物を入れることができたのか?というミステリーです。

 そこに、結婚して1年たっても妊娠しないからと離婚を言い渡された妻(結婚当初から、そういう約束だった)と、次の妻の予定の女性、自殺した以前のコイビト、いろんな女性が絡んできます。どうも、動機はいくらでもありそうなんだけど、アリバイがあるし、だいたいどうやって!?

 うーん、まあ、トリックをなーるほどねえ、って思う人にはいいのかもしれないけど、私はその部分はまあ、どうでもよくって、そういう事件を起こすまでの人の気持ちとか、いきさつとか、そういう部分の描き方が共感できたり、納得できるかっていうことのほうが興味があるんですが(と、これまでのいろんな本のご紹介で書いてる通り)、それが、なんだか、ほーんとに男の作家が、勝手に書いているなあ、と思うくらいのことなんだよね。なんだか、登場人物の苦悩も悩みも、全然伝わってこない感じ。というわけで、彼は映画などにもなる作品も多い、売れっ子作家さんなんだろうけど、相変わらず(たしか、容疑者についてもどこかで書いた)、私の評価はちーとも高くないです。いい作品もあるんだけどねえ。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年10月 1日 (木)

NO.6(5)

NO.6 #5

 5巻まで行ったぞのNO.6、(たしか文庫はここまでしか出てないのだ。だって、この文庫が出たのが2009年8月、その後はまだかな)、矯正施設に潜入することに成功したネズミと紫苑、たくさんの人が中で処分されている姿、その屍を登っていかなければなりません。この2人、なんだか正反対のような性格なんだけど、実はとーっても心の奥底で惹かれあって、頼りあって、守りあっているんだよね。悪態ばかりついているけど、その自分たちの気持ちを、ちゃーんと自覚している2人、その2人の会話がいいです。

 綺麗ごとばっかりで、うそばっかりで、平和ばっかりで、争いなんてなくって、みーんな幸せで、みーんな幸せに死んでいくはずの社会のウソっぽさ、欺瞞、人間の生活って、人間の幸福って、そんなもんじゃないんだろう、という問いかけがある一方、じゃあ、今は?幸せじゃないことも、苦しみも戦争もたくさんの不幸もある、そしてそれを救おうとする理想社会って何なの!?という命題をつきつけてくるあさのさん。この世界を救いたい、人間を救いたい、どうやって?

 さてさて、ネズミと紫苑は、女の子を救えるんでしょうか?NO,6に生きる人を救えるんでしょうか?次行ってみよう!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月30日 (水)

タイム屋文庫

タイム屋文庫

 別の作家さんの本を探していたんですけど、同じシリーズでこんな本が出ていたので読んでみた偶然の1冊です。

 ある30代の女性が上司と不倫してた会社を辞めて、亡くなった祖母の家に移り住み、自分の好きな時間旅行関係の本を並べた貸し本屋さんを始めます。といっても、貸し本でたべていかれないので、新聞配達もするし、喫茶店でアルバイトもする。

 小樽の町の坂の上の、古い一軒家に移り住んで、そこで出会う新しい知り合い、ずーっと昔、16歳のときにデートした場所の思い出(小樽でデートしたんだね、初恋の人と)、そういうことが交錯しながら、なんだかほのぼのする小説です。新しい出会いと、恋愛もちょっとあって、変な子たちが貸し本屋さんに来たり、居なくなったり。

 その女性が、新しい一歩をゆっくり、ゆっくり踏み出す、そんな小説になっています。

 新しいことを始めたり、生活を大きく変えたりって、まあ、せーの!!ってさっさとやってしまう人も居るんだろうけど、こういう風に、なんだか、少しずつ満ちていくように、ジワーーっと変えていくこともあるんじゃないかな、と思うのです。「これは失敗」→「じゃあ、リセット」→「じゃあ、次はこれ!」ってスピーディに変えられることもあるだろうけど、もっとグレーで中途半端な時を長くもたないと、動き出せないときってあると思うのです。今の時代、なんだか忙しくって、「あなたはどうしたいの!!」「どうするつもりなの!!」なんていう問いをつきつけられる状況ばっかり。

 「今は決められない」「まだ、決められない」という状態をじっくり味わうことも、人生には必要なんじゃないかなあ、と思うのだ。まあ、それで、30とか40のニートっていうのも困りもんなんだけどねえ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月29日 (火)

ものづきあい

ものづきあい

 初めて読む中川さんです。

 彼女が、好きなものっていろいろあるんですけど

・さびているもの(大笑)

・ちまちましたもの

・へんてこりんなもの

 なんだそうです。なんだか、よくわからない、なんかの部品の錆びているのを見ると、何に使うかなんて考える前に欲しくなっちゃう。ミニチュアのミシンなんて、実用性のまったくないオブジェ(というわりには精巧らしいが)が、とーっても魅力的に見える。

 へんてこりん、であって、へんちくりんではないもの(笑)、そこがこだわりだったりする。

 へえ、へえ、って思います。

私、たとえば、なんだか欲しくなっちゃう洋服の色とか、この形には弱いっていう襟とかあるけど、物で、実用性が全然ないのに、どうしても欲しくなっちゃうものって、実はあんまりありません、食べ物なら(あるいは原材料、食材ですね)あるか(笑)、ミニチュアのミシンなんて、はあ?って思います。使えないミシンなんて、なんで!?って。

 でも、人のそういうこだわり、それを通して、こういうことが好き!!っていう偏愛ぶりを聞くのは面白いです。いろんな人の、「だって好きなんだもん」は結構、その人をあらわすと思うんです。

 人生、どういう風に時間とお金を使うか(もっといえば、そのお金をどうやって得るか)というのは、かなりの程度、その人の人生を、規定していくと思うんですよ。崇高な発言とか、言うこと以上に、時間とお金をどう確保して、どう使っているかって、私はその人をよくあらわすし、その人がよく見えると思うのです。となると、そこで、どういう物にこだわって、買うか(あるいは作るか)というのは、面白いんですねえ。中川さん、おもしろい!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月28日 (月)

ミルキー

ミルキー

 林真理子さんの短編集です。

 彼女は、こういうシニカルな要素をこめた大人の恋愛模様を書かせると、なんだか、うまいなあ、って思うことがあります。何篇も入っているけど、いくつかは、ひゃーーーって思います。妙にするどい、妙に旨い。たくさんのなんだかなあ、という作品も読んできたけど、こういうのがあって、やっぱりチェックする作家さんです。

 私が旨いなあ、って思ったのは、40代後半、50歳に近い夫婦(まあ、同世代ですね)が、妻も別の恋愛をしているんだけど、オットの別の恋愛にも気づいている。いろんな気持ちがあるんだけど、「なんだか、そういう気持ちになれて」「なんだか、そういう風に思ってもらえて」「がんばれて」 よかったじゃない?って思うような、そんな妻の気持ちを書いているヤツです。嫉妬がゼロとは言わないし、腹が全然たたないというわけでもないけど、なんだか、お互い疲れてきた時期に、そういう華やかな、夢中になれて、夢中になってもらえて、がんばれることがあって、よかったね、みたいな気持ちがあることを(それが全部じゃないけど)、旨く書いていて、そうだよなあ(おい!!いいのか、というご指摘はごもっともですが)、って自然に感じられるんです。そういうところが、旨い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月27日 (日)

いつかゴルフ日和に

いつかゴルフ日和に

 出張先で、品揃え100冊以下っていう売店で、消去法で選択してみた本です。あたし、ゴルフしないんだよね。あ、打ちっぱなしは何度か行ったことがあるし、きらいじゃないです。スコーンとTショットを打つのは、カコーンと当れば、それなりに快感。まあ、バッティングセンターみたいな気分ね。あれも、あたるとうれしいし、気分がいい。でも、なんだか、芝を読むとか、何番のクラブがどうたら、こうたら、みたいなことが、「うざってーーーーー!!!」っていう気分になるので(海外のリゾート地で遊びで回ったことがある…)、その部分が、勝敗だとか、心理戦だとか、うざったいので、しません。もっと単純に、ガツーンと暴れられる、がーーーと動く、汗かく、みたいなスポーツがあたしにはあってるんです。単純バカと呼んでください。

 ゴルフの本は、あの川上さんの本を以前にご紹介したくらいであまり読まないのですが、消去法だからね

ここね「風の仲間」2008年12月22日

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post_ae9c.html

ゴルフを通した、ちょっとした人間関係の話、軽いけど悪くなかった。ゴルフって、人間関係の媒体となるスポーツだっていうことだね。なーるほど、たしかに加点を競うのではなく、カウントが少ない方がいいというのも、ボールを使うゲームでは珍しいよね。チームスポーツじゃないけど、ランニングとはまた違った、ゲームスポーツなんだろうね、うん。幅広い世代がやるスポーツというのもあるし、社会的スタンスもかなり多様だよね。なーるほど、そういう意味では、面白いスポーツかもね。たぶん、今後、やる可能性は低いと思うけどね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月26日 (土)

もっと時間があったなら!

もっと時間があったなら! 時間をとり戻す6つの方法

 「あーあ、1日が25時間、いや30時間あったらなあ」って思っている方っていらっしゃるんじゃないかな、と思います。私も、若いときはすごーく思っていました。やりたいこと、やらなきゃならないってことがいっぱいあって、時間があっても、あっても足りない気がしました。今はね、考えてみたら、あんまり思わないんですね。気がついたらそう思わなくなっていた感じ。なんでだろう!?

 時間って不思議だなあ、と思う。時計の刻む時間はたぶん、みーんなに平等で、誰でも24時間ずつあるんだろうけど、それを短い少ないって思う人もいーっぱいあると思う人もいるし、一人の人間の中でも同じ1時間をながーいと思うことも、あっという間と思うこともしばしばあるよね。ながーーく感じる時間がある一方、その積み重ねの1年なり10年なりはあっという間って思ったり、感じ方ってコロコロ変わる。だから、もっと時間があっても、やっぱりみーんなにとって、いつでも、いっぱい時間があるっていうことはありえないんだろうね。変なの。

 この本の前半は、いろんな時間の長さがあるということをくだくだくだくだ言っているのよね。生活実感としても人生実感としてもわかりきったこと。そして、いろんな長短の時間を経験してみて、結局は使いこなすことだ、というのだ。

 時間を取り戻す6つの法則として

1)時間の主導権を握る

2)自分の体内時計を知る

3)余暇を作り出す

4)感覚を研ぎ澄ます

5)集中する訓練をする

6)本当の優先順位を考える

 ってある。うん、当たり前って言えば当たり前のことばっかり。

 私、時間にすごーく追われていた一時期(特に乳幼児子育て期)をなんとか経てしまった後は、時間がない、足りないってあんまり思わなくなっちゃった。なんだか、今は普通にフルタイムサラリーマンしてるけど、時間的には余裕がないって全然思ってない。たぶん、私の時間を知る人は、「忙しそう」「毎日朝早くて夜遅くてたいへん」って言うのだけど(実母は完全にそう思っている、面倒だから思わせておく)、本人は主導権を握っているし、体に合うことしているし、余暇を使っているし、実はあんまりたいへんって思ってない、自分で時間をコントロールしている中で今の生活パターンを作っているので、実は結構満足。つまり、実質的にどれだけヒマな時間があるかないかが主観的な忙しさや余裕のなさを決めるものじゃないんじゃないかな。ということがこの本でやっぱり確認できたのでした。

 ちなみに、著者が引用しているストレス研究者の研究で

「ランニングでもウオーキングでもヨガでも、どんな運動でも運動はストレスホルモンを再び物事に集中できるレベルに戻してくれる。だから結果的に運動によって失われる時間よりずっと多くの時間が得られることになる」というのがあって、これはほーんとに日々痛感しています。私のジム通いも、そして土曜日の朝のお散歩タイムも、加齢により衰える集中力を維持するのに、すごーく役に立ってます。まあ、人並みにストレスフルな仕事なのですが、それでも、私を維持できるのに、運動やお散歩はとても有効です。

 そして、私のマネをして同じ朝ジムに入会したオット(えーと、私は2年半くらい前に私が6年通った職場近くの小さなジムから、渋谷の大手のジムに移籍したのです。そこは朝のプログラムが充実していて、楽しい楽しいと出かけている妻を見て、オットがマネして半年後に地元ジムから移籍して同じジムに入ってきました。マネッコです)を見ていると、仕事拘束時間が私よりずーっと長いオットの仕事なのですが、この朝ジムのせいで、彼の集中力や体調がずいぶん変わったなあ、と見ております。日本の首都圏の大企業のサラリーマンっていうのは、メチャクチャ忙しいのが普通でストレスフルだと思うのですが、それでも運動効果は大きいなあと思うのです。休日の過し方を見ていても、50にリーチかかっているはずなのに、ずいぶん変わってきったな、と思います。本人も、子会社の合併だのなんだのすごいストレスの中で「これでも、病気にもならずになんとかやれてるのは、エアロのおかげだ」と言ってます。あ、慌てて「りょうの、おいしいご飯も」と、妻のご機嫌とりも忘れてないのは、長い教育の成果でしょう。

 というわけで、時間の主導権を握り、自分に合わせてコントロールする、(できないときは、できない期間を短期間にするようにして体力でやりすごす)、ストレス解消し、集中力を高める手段を日常に組み入れる、その中で優先順位をつけるのは、自分なのです。うん。人生泣いても笑っても、追われても、自分がコントロール、たぶんあと数十年、笑って、自分で時間を主導して生きたいもんだ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月25日 (金)

子どもの貧困

子どもの貧困 日本の不公平を考える

 格差だなんだといわれているけど、大人はまだ、自分がなんとかする道がゼロではない場合もあるだろう。でも、大人に経済的に依存するしかない子どもは、もう、自分が依存している大人が貧困だったら、どうしようもなく、貧困から逃れることができないという意味で、決定的な格差、それも絶対に乗り越えられない差があった場合には、どうしようもない、という意味で、大人の経済社会の犠牲者なのだ。

 OECDが、日本の子どもの貧困率(これがさっぱりわからない指標なんだけど)は、世界第二位って言ったという。もちろんOECD諸国の中での話しだけど(だって、マニラでごみの山をあさる子ども、パキスタンで餓死する子どもが居るんだから・・)。

 OECD諸国の中での貧困ってなんだろう!?日本の貧困の概念とどう違うのか、という分析がとっても納得する。たとえば、イギリスでは、「あたたかいコート」「クリスマスのプレゼント」「新しいおもちゃや洋服」なんていうのが、当然、すべての子どもに与えられるべきものとして認識される度合いが高い。一方、日本では、それは、「当然、すべての子どもに」との認識度がとても低いのだ。日本人は、貧困に対するボーダーがとても低い。

 それは、戦前、戦中、戦後をすごした、本当にメチャクチャに何もない貧困時代に子どもだったり、子どもに近かったりした世代がまだ結構いて、「今の子どもは物質的に贅沢だ」って思っている。「自分たちの頃は、ロクに着るものもなくって、新しい服なんてなくって、ボロボロで、おもちゃ?なんてなくって、それでもまあ、ちゃんと育った」とどこか思ってる。だから、*今の*子どもの貧困に対する意識がとても乏しい。時代がちがって、このものあまりの国と時代に、たとえば、ぼろぼろの服を自分だけが着て学校にいかなきゃならない子どもが居たとして、学校に行かれるだけマシ、と言ってしまうのは、あまりにも子どものことがわかってない。そういう世代がまだいて、自分たちの社会の「最低限の生活」を、かつての異常時の経験から、低くしか設定できないで、そのボーダーを向上させようと意識しないことは、次から次へと連鎖的に起こってくるマイナスのスパイラルを加速していくことになるんじゃないか、って思う。

 意識の中のボーダーをあげようよ、それが社会全体の生活レベルをあげていくことにつながるはずで、逆は、逆につながるんじゃないかな。まず、この貧相な貧困観を変えていく、もっと、「人間として最低限の生活」を高く掲げようよ、って思える本。とっても、納得。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月24日 (木)

朝のこどもの玩具箱

朝のこどもの玩具箱

 あさのあつこさんの短編集です。いやはや、子供向けにもなるお話が入っているんだけど、すごく楽しいです。もちろん、なんだか鋭い、しんみり系のお話しも、涙がでちゃう作品もあるけど、ワクワクしちゃうような話もあります。いろんなパターンの短編を入れているんですけど、楽しかったなあ。あさのさんのワザと才能を感じますわ。

 たとえば、狐のお話。かつては、人間に大切にされたけど、この頃の自然破壊と、人間の狐を恐れぬ行動で、狐族の将来が危ぶまれている。それなら、人間社会に入っていって、人間を支配しちゃおうと狐族が考えた。化けるのは得意である。どんどん人間に化けて、重要な役職(もちろん、人間のです)について、人間社会を動かしていく。たとえば、なんとかゼネコンとか、なんとか役所とか、なんとか検察庁とかに入って、贈賄問題を引き起こし、大切な狐の住む山の開発を白紙に戻したり、と成果をあげていく。あれらは、人間に化けた狐の仕業だったのだあ!(笑) ところが、人間に化けた若い狐が人間の娘に恋をしちゃったことで…なんていう話は結構楽しいよね。狐同士が、いろいろ会話しているんですけど、「狐生っていうのは、そういうもんだ」「何を他狐事みたいなことを言ってるんだ」なんて言ってるんですよ。かわいいわ。

一作一作、なんだか、ちょっとこの話について、あさのさんや、誰かとお話したくなるような、いい話が詰っています。よかったわあ。もちろん、お子さんにもお勧め。いったい何年生くらいが、こういう本を楽しめるのか、よくわからないけど。楽しい短編集です。

という余計(??)な仕事もなさっているのでNO.6が完結しないのだな、と思いつつ、これもまた、楽しいので困って(何が!?)しまうわけです。あさのさん、お願いします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月19日 (土)

レインツリーの国

レインツリーの国 World of delight

 有川さんは、図書館戦争(革命とか内乱とかあって、6巻続くらしい)に挑戦したいのですが、入手できずにいます。革命とか内乱は、ときどき棚にあるんだけど、1巻目が入手できてないので、読めずにいます。どうやら順番通りに読んだ方がよさげな感じなんだもん。よって、図書館戦争シリーズの他に入手できるものをボチボチ読んでます。

 このレインツリーは、これまでと変わって、非自衛隊ものです。ある聴覚障害のある女性と、男性が知り合い、付き合おうかどうしようか、というところでのあれこれの小説です。なんだか、関西出身の理屈っぽいけどいいオトコの伸行さんと、聴覚障害(それも子供の時の事故で)のある、だからものすごく引っ込み思案になっちゃったひとみさんとの、ほとんどがメールの会話なんだけど、すてきな恋愛です。

 これね、図書館内乱の中で出てくる本なんだって。それを書いちゃったっていうのも面白いし、いや、図書館内乱は読んでなくても、楽しめるのもいいな。

 非自衛隊もの、気が強くない女性が主人公ですけど、有川さんの恋愛もの、楽しんでます。

 有川さんの話題で2つへえ、って思いました。一つは、結婚しているらしいということ!(いいじゃないか、とは思いますが、なにせ男性だと思っていたお名前ですから、「オットが、突発性難聴になって」なんてあって、驚きました。へえ、へえ)。もう一つは、聴覚障害のことで取材をしていたら、「自衛隊が地雷処理かなんかで難聴になるっていう小説ですか!?」と突っ込まれたということです。わはは…有川さん=自衛隊ものって思われてるのか、と思いつつ、「それもネタになるな」と考えたそうですから、いずれそういう小説が読めるかもしれませんね(笑)

 ボチボチ楽しんでいる有川さんです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月18日 (金)

ガールズ・ブルー2

ガールズ・ブルー 2

 あさのさんの、ガールズ・ブルーの2巻です。県内でも、評判のよくない高校に通う3人の幼馴染、3年生ともなると進路問題が出てきます。大学?行かれるところあるの?就職?高卒の就職口って?都会じゃなく、田舎(たぶん島根県くらいの設定)では、仕事も少ない。専門学校?分厚い案内書はあるけど、いったい自分で何がしたいの?何ができるの?でも、大都会(広島とか大阪とか、東京ははるか遠い世界)に出ても自立できるほど稼げない。親の事業の問題、家族の健康の問題など、いろいろあります。

 そういう高校生の悩み、すごく当然だし、大人は、「あなたの希望は?」「何になりたいの?」っていうけど、そんなこと、すぐ決められるもの?という3人の高校生たちの悩み、自分で考えて決めていこうとする、もがく姿がまぶしいです。なんていうか、大人たちがたいして期待してない分(世間的に評価の高い大学に入るとかはまるっきり期待されてないし)、自由なこともある。一方、親の仕事がうまく行ってない友達は、早く稼いで家にお金を入れることが義務付けられている、どんな仕事でもいいけど、みたいなところがあって、その分、迷うんですよね。

 あさのさんが書いています。「メディアに流布される少女像ではなく、ささやかな日常を力強く闊歩する生々しい肉体と精神を有した女の子たちを書きたかったと」、うん、うん、あちこちで言われる少年少女たちの、閉塞感とか孤独感とか、危機的な状況じゃなくって、本当に両足ですくっと地を踏みしめて立ち、アタマを揚げて歩き続けようとする、世間知らずで、甘っちょろいくって、軽薄で、愚かなんだけど、強くて逞しくって潔くって、という高校生たちだなあ、と思うのだ。いや、あさのさん、いいですよ!すごく、逞しくって、よかったよ。ありがとう!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月17日 (木)

ガールズブルー

ガールズ・ブルー

 あさのあつこさんです。幼馴染の3人、理穂、美咲、如月(これは男性)は、県立のかなり学力のかんばしくない高校に通う学生。12わる3が3になるような、とぼけた高校生たち。でもねえ、とっても、なんていうか、勉強しないとか部活しているわけじゃないとか、親や先生は評価してないかもしれないけど、人間として健全。大人や先生のくだらないおためごかしや、強制、うわべだけのおべんちゃら、なんかをきっぱり見破って、そういうのを自分はきっぱり拒否して、友達のこと、恋のこと、カレシのこと、学校のこと、家族のこと、飼っているワンコのこと、おばあちゃんのこと、いろんなことを考えてる。へんに、取り繕ったり、形式的なことをして、済ましているたいがいの大人(もちろん、私も)や、それを見習っている安易でおりこうさんな優等生じゃない、そんな高校生たちがいます。

 なんだか、まぶしいくらい健全で、すくーーーっとしている気がするんだよね。そんな高校生をあさのさんが書いています。実際に見ても、すでにどーっぷり大人の世界にいる私にはわからないのだろうけど、いいなあ、こういう子たち。そして、いいなあ、こういうことを書ける大人ってって思う。

 佐藤多佳子さん(「一瞬の風になれ」の著者の方ね)があとがきを書いていらっしゃるのですが、びっくりしたのは、あさのさんは娘さんと息子さんがお一人ずついらっしゃる(あ、両方書いているもんなあ、へえ、そうなのかあ、と思う)、そして佐藤さんは、なーんと娘さんしかいらっしゃらないんですって!え?佐藤さんの書く、男の子好きなんだけどなあ、お嬢さんだけ?って驚きました。娘がいないくて、女の子ってわからないなあ、って、かつて(大昔に)少女だった私は思っているのに、かつて少年だったわけでもないのに、息子さんがいらっしゃらなくって、あーゆーものを書ける佐藤さんに驚いたのでした。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月16日 (水)

NO.6(4)

NO.6 #4

 次々読みたいあさのあつこさん。どうやら、沙布(紫苑の、エリート時代の女友達)が入れられてしまった矯正所では、あらぬ実験が行われている様子。4巻は、矯正所に入り込むための情報を集めようとする、紫苑、ネズミ、イヌカシの3人の絆、それに片付け(という名の人狩り)が始まる不穏な西ブロックの様子です。

 紫苑とネズミとイヌカシの3人、生きるために他人のことなんか構っちゃいられるかっ!っていうネズミとイヌカシの生活に、「こいつ天然だ」という元エリートの紫苑が加わることで、信じること、頼ること、守ることを知ります。そして紫苑も、綺麗ごとだけの、でも、本当に生きていないような理想都市NO.6では感じられない、人とのつながり、人と生きること、自分で考え自分で判断し、自分で決めて生きることの喜びを感じるようになるのです。いくら物が豊かでも、安全で、気候も食料も仕事も管理されていても、そこに自分の生きることがなければ、死んでるのも同様なNO.6の都市の空虚さを感じるようになっていきます。そんな中で、3人が捉えられてしまいます。さて、さて、どうなる!?

(ちなみにこのシリーズは、文庫で読んでいます。手軽な文庫なので、家族中で回し読み中。オットと、ジムのYインストの話題、NO.6の話題で話しをしていると、ノーテンキだよな、もうちょっと大人のマジメな話をしなくていいのかっ!とつくづく思います。はい)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月15日 (火)

NO.6(3)

NO.6 #3

 紫苑が都市外の西ブロックに逃げ込んでから、残されたお母さんは、一人、低所得者向けの地域でパン屋を続けています。ムスコが逮捕されて二度と帰れないといわれているという矯正施設に連れて行かれたと知らされるだけ。

 ある方法でムスコの無事を知りますが、さて、超優秀クラスの女の子までが、紫苑を追って消えてしまって、どうしたらいいのだろう!いったい、この完璧!といわれるNO,6という都市は、何なんだろう!!

 一方、誰も信じない、誰にも頼らない、一人でいきていくしかないんだ!と考えていたネズミは、天然な紫苑と付き合うことで、打算じゃない人間関係、守りたいものをもつ気持ちが生まれてきます。そんな2人のあれこれに心和み、どんな社会でも人間の心っていうのは残るんだなあ、と感じる一方、女の子を助けるために危険なことをしようとしているドキドキはらはら感が迫ってくる3巻です。

一気に読んできたNO,6ですが、なーんと8巻まであるらしいんです。とりあえず3巻までしか入手してないっ!先が気になる!あと5冊!!ひゃあ!

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2009年9月14日 (月)

綺麗な生活

綺麗な生活

 林真理子さんの、女性誌に連載された作品です。

 彼女の描く、都会の女性は、いいところのお嬢様、お金持ちでお金に苦労したことがない、仕事は、美容整形外科のVIP対応のためのアシスタント、お母さんがその院長と懇意にしていて、品のいいお嬢様を置いておきたいといことから、働いている。もちろんおきれいで、お母様のものや買ってもらったものなど、ブランド品で身を固めている。

 不倫関係にある大金持ちの二代目社長と、文学セーネンと2人の恋人があって、青山あたりにマンションに住んでいて、仕事柄、女優さんやモデルさんとのお付き合いも多くって、小学校から付属で、お友達もそういう世界、出入りするお店もほぼ固定的で、狭い友人関係の動向は、なんとなくウワサ話で入ってくるという世界。ほんとにあるのか、ないのか知らないけど、そういう世界のお嬢様の話。

 さて、そういうお嬢様が、はじめて本気で、年下の芸大生でモデルもしている超イケメン君と恋愛。母親の恋人の息子っていう面倒な関係だけど、絶対に別れないもんね!と本気を出す。カッコいいし、イケメンだし、すばらしい!!

 さて問題です。彼が事故にあって、顔半分がぐちゃぐちゃになっちゃいました。そのショックからひきこもって、体もブヨブヨになっちゃいました。このお嬢さんと、彼との恋愛は続くのでしょうか?

 林さんは、この女性に、この恋に命をかけようと思っていた女性の気持ちを、どう動かすんでしょうか?そんな命題の小説です。

なんだか、やっぱり、という感じで終ってます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月13日 (日)

あなたには帰る家がある

あなたには帰る家がある / 山本文緒/著

 1994年に最初の単行本が出た山本文緒さんの作品です。それから15年たっているわけです。

 この小説に出てくる、結婚して(デキ婚)、お給料のいい商社を退職して、ハウスメーカーに勤務する男性の給料で暮らしていた1歳の子供を持つ女性、その閉塞感にいたたまれなくなって、働きに出ることになります。保育園は最初は入れず、実家を頼り、妻が働いても何も変えないオットにいらつき、うまく行かない仕事に、、といろいろ起きます。この30代の母親、産休も育休もあったけど、そして社内でもそれが認められている(鷹揚な財閥系商社で)にも関わらず、「家で家族の世話をすることが幸せ!」と結婚願望(結婚願望と、主婦願望と幸せにして*もらう*つもり願望が渾然一体になっているわけだけど)で退職してしまう、そして後先考えず、実家に頼る子供っぽさもあきれるけど、それが、それほど、あきれるほど未熟なことでもなく、え?これでいいのか?って気づき始めている人がいる、そしてそれを描くことが小説として成立した15年前なんだなあ、と思いながら読みました。

 そして、それは、偶然私が、仕事しながら仕事のあれこれで、そして気持ち(仕事していることは賛成)と実態(でも、自分は何をしていいのかちっともわからない、妻の苦労もよくわかんない)という男を戦い続けてきた15年間ときっちり重なるなあ、なんて思いながら読んだのです。ほんと、この小説のオットのノーテンキさ、悪意がなくって善意の塊で、優しさ、なんて不安定なものはあるんだけど、じゃあ、何したらいいのか、ちーっともわかってない30歳は、そこに居るおじさんの15年前とほとんど同じ。いらつくわ~(笑)そして、この小説の妻が戦ったように、私も戦い続けてきたなあ、と思いました。

 子供が小さい時、私がとても夜遅く帰らなきゃならない場合、(オットが何とか帰れるときは、私がまとめて仕事してとても遅く帰ってました。こういう日を調整するのも、それはそれでたいへんだったのですが)、彼は「いつも帰ってくると機嫌が悪いんだねえ」と言うのです。そりゃ、そうだよ!!仕事で疲労しまくって、夜中。その上、早めに帰宅した男は、私が作って段取りも指示した夕飯を子供と一緒に食べたまま。それだけ。それだけ。洗濯物は?明日の準備は?片付けは?なーにも思いもつかない。「妻が忙しいので、早く帰ってきたエライオット」のまま、ソファーでゆーーっくりしてる。「いわれた夕飯食べさせたし、エライ」と自己満足。自分は、十分、共働きの妻を支えて、早めに帰宅し、子供と夕飯を食べることで貢献した、と思っている。そして、妻がなぜ、遅く帰宅すると機嫌が悪いのか、さーーっぱりわからない。自分はちゃんと(といってもたいしてちゃんとじゃないけど)妻より早く帰宅して、子供とご飯食べたのに、十分協力しているのに、程度しか思いつかない。

このバカぶりが、心の底から憎かったです。そんな「優しいオット」が描かれているので、苦笑しながら読みました。

 戦い続けて20年、夜中に帰宅したら「お疲れ~」「お風呂沸いているよ」「ご飯食べる?」「明日も忙しいなら何か作っておこうか?」くらいは言えるようになったかな。すくなくとも、そのときだけは、気を使っている*フリ*くらいしてる様子です。行動はまだまだで、戦いは続きます。はあ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月12日 (土)

NO.6(2)

NO.6 #2

 ネズミに助けれた紫苑は、NO.6という管理された都市の外側のゴミ扱いされている場所で、地下に潜って暮らし始めます。生物関係の超優秀児としての教育を受けた紫苑は、その関係の知識も明晰な頭脳も持っているのですが、人の気持ちを推し量り、その裏に様々な悪意や感情があり、人間の気持ちって複雑だということが、実はとーんとわかっていません。ゴミと化した、たくさんのシェイクスピアの本がある都市外で、「頭を鍛えるのもいいけど、魂を鍛えろ!!」といわれます。そんなこと考えたこともなかったことです。そこでの、いろんな人や犬との出会い、紫苑の純粋でかわいいところにびっくりする都市外の人たち、逆にたくましさ、強さに驚き、自分の未熟さを痛感する紫苑。

 このあたりの、掛け合いも、会話も、すごく面白いです。

 SFって、単に突拍子もない未来の変なことが起こる小説だとダメだけど、そこには、人間(あるいはもっと広い意味での生き物)が、いろんな関係を築きながら暮らし、悩み、葛藤しているという点では、ほんとにリアルです。そういうところを、ちゃんとあさのさんが書いているので楽しいです。

 さて、次の展開につながる、いろんなことが起こってきます。

 3巻が楽しみ!どんどん行きましょう!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月11日 (金)

まいにち、まいにち

まいにち、まいにち、

 伊藤まさこさんって、東京テクテクすたこら散歩をご紹介して、お友達のKちゃんから、京都版もあるよ、と教えていただいて、お散歩系の友にしたい方なんです。

 ここね。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-540a.html

 いや、とてもおしゃれで、たくさんの名店や名品もご存知で、私の魚屋さんとか、八百屋さんとか、せいぜいがカルディとか(笑)、くらいしかないお散歩コースとは比べようもないおしゃれなお散歩をなさる方なんですけど、

とーっても意外なことに、今は松本にお住まいらしいです!その松本くらしの、日記みたいな(ブログか何かかな?)のをまとめた本です。どーってことないですけど、新鮮なお野菜に驚き、冬の寒さや蒔きストーブの話、かご編みを習いにいく話、なんだか、松本での丁寧な暮らし(もちろん、売れっ子ですから、いろんなところに取材とか、見学とかに行ってらしてるんで、それも)が、ほのぼのします。こんな本、なんだか、ほっとする時間にめくるのに、好きです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月10日 (木)

純情エレジー

純情エレジー

 豊島さんって、こういう展開!?って、なんだかとまどう一冊。

 高校生のときに出会って、付き合った彼氏が、状況して小説家になって、時々故郷に戻ってくる。年に1回か、2-3年に一度のときもある。数日だけ戻ってくる。そのときだけ会って、セックスする。そういう2人の何年かをかいているんだけど、なんだかよくわからない。

 7月30日に「エバー・グリーン」っていう、高校生のときの、漫画家になる!ロック歌手になる!っていう夢の10年後を描いた作品が、結構よかったので、もう一冊読んでみたけど、高校生のときのカレシ、彼女を原点としながら、今回は、まったく違う感じ。

 うーーー、わからず、理解できず、共感できず、だから何!!!で終った。だめだ、こりゃ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 9日 (水)

1回作れば3度おいしい作りおきレシピ

1回作れば3度おいしい作りおきレシピ

 私、何度か書いていますが、まとめ作り、作りおき大活躍しております。でも、それは、休日はまとめ作り、なんていって、せっかくの楽しい休日をキッチンにいることで潰すものでもないし、作り置きネタをあれこれ作って、冷蔵庫をいっぱいにすることでもありません。ついで、ついで、ついでのつくりおき。2倍、3倍作っても手間は1.1~1.5倍のことなら、2倍3倍作ることで(で、うまく使いまわすことで、そう、同じものをガマンして食べるのではありません。何度でも、ネタを展開して、毎日、変化に富んでおいしいものを食べたいんです!)、総作業量は減少します。総作業量を減少させ、満足したご飯を食べることで、私の人生はより楽しいんです!総量抑制、つくりおきによる時間拘束からの解消、空腹ガマン時間(自分のですね)の減少、即食べられる、即おいしい!これを目指しています。

 えーと、このことは、2007年2月19日にも書いてます。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_d7b3.html

 この考え方に近いなあ、って思うのが、この本。

 つくりおきをして、時間をつぶすことなく、でも、野菜も豊富でおいしいご飯という考え方、かなり近いです。読みながら、こういう本を書けばいいのか!(←大ウソ)なんて、ゴーマンにも思ったくらいですから(大笑)、というのはジョーダンで、とんでもありませんが、

つくりおき→日曜日やお休みの日にせっせと、つくりおきのための料理をする とか

つくりおき→いつも冷蔵庫にある余りものとは言わないけど、それに近いものを同じように食べるんじゃないの

 と思っていて、つくりおき=おいしくない、つくりおき=家族が喜ばない つくりおき=変化がない

 と思っていらっしゃる方にいいたい。ちがう!!!!そんな稚拙なのは、余りものというのだああ!!違うのだああ!

おいしいものを、いろんな変化がもちろんあって、デパ地下も、お惣菜も不要で、調理時間を短縮できるから、空腹ガマン時間も少なく(調理主担当が自宅に一定時間以上いなきゃいけないという時間的拘束もなくなる)、食べる工夫なのだあ!不本意ながら(本意ならいいです)外食や、買い飯や、買いおかずや、デパ地下や、不十分なおかずの方、(本意ならいいです。外食したければすればいいです)、不本意ならば、一度考えてみてください。ちょっとした工夫で、食生活は全然変わります。それに拘束される時間も、まったく違います。はい、そんな本です。

 思想としては、とても参考になります。ただ、レシピは、その通り真似するものじゃないと思っています。食べたいものや好み、食材の扱いは万人が違う、自分の好みのやりかたで、好きなところだけ、ちょっと取らせていただいて、それぞれのお好みに合わせてどんどんアレンジしちゃえばいいのがだ。100の家庭に100通りのご飯があるように、自分の好みにあったアレンジ、でも、基本は同じ、ご飯作らなきゃならないから「○○ができない」「○時には家にいなきゃ」「○○には、あたしがいないとだめ」、このセリフと束縛からの解放です。そして、おいしく、空腹をガマンせず、負荷が極めて少なくお気に入りのご飯を、毎日、ラクチンに食べられる生活の確保です。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年9月 8日 (火)

NO.6 (1)

NO.6 #1

 あさのあつこさんの近未来小説です。あたし、SFって苦手で、シーナさんのSFも、よう読まんわあ、っていうタイプなんです。実はあさのさんの、この作品も、存在はずいぶん前から知ってたんですけど、近寄らないようにしようと遠巻きに見ておりました。毛嫌いってヤツですね。でも、何人かのお友達が、あさのさんの作品の中で、好きな作品っておっしゃってて、彼女たちが特段のSF好きとも思えなかったので、そおーーっとそおーーっと近寄って見ました。

 どうかなあ!?とおそるおそる近寄ってみたら、結構面白いじゃありませんか。最初の想定は2013年、もうすぐですよ(笑)

 NO.6というすべてが管理された未来都市が舞台です。2歳の時に、優秀な頭脳と判定され、そこから英才教育を受けることができた紫苑、その潜在的な能力で、母と2人の水準の高い生活が保証されていたのですが、ある日、窓から入ってきた不審人物をかくまって、手当てしてあげたことで、その権利を剥奪されてしまいます。ちゃんと市に報告して(つまり密告して)突き出さなかったからなんです。

 母と2人、特別待遇をはずされ、公園の掃除係りとして成長することになります。ところが!!

 なんだか、すべてが平等って、こういうこと?すべてが保証されている社会って、こんなに窮屈で夢も希望もぜーんぶなくなっちゃうの!?ほら、あの、桂望実さんの「平等ゲーム」(2009年1月23日)の小説でも思ったことが、ここにもあります。

 えーと、平等ゲームはここね。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-b853.html

 公園の掃除係の相棒が変死します。その罪をきせられそうになる紫苑、そこへやってきたのが、かつて助けたネズミだったのです。なんだか、わくわくするスピーディな展開です。次、行ってみよう!!

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年9月 7日 (月)

大事なことはみーんな猫に教わった

大事なことはみーんな猫に教わった

読むってほどのものじゃない、ほんとに小さな、見るだけだったら10分の本だけど、こういうの好きだなあ、って思う小さな、小さな本。字は一ページに一行しかない、あとは、とぼけた猫の絵。

「お金は単なる紙にすぎない」(ってネコがお金で遊んでちらかしてるんだけど)

「新しいことをやってみる」(なんだか、フェンスみたいのによじ登ってる)

「資源を無駄にしないこと」(ごみ箱をひっくり返して遊んでる)

 なんて、一つ一つの基本的なことが書いてあるだけ。あとは猫(笑)

谷川俊太郎さん(訳者なんだけど)の前書きもいい、「自分勝手に生きる方法」を猫から学ぶことができるということ書いているんだけど、そのためには、わがままを通すとかじゃなくって、「権力や富や名誉や愛や正義を追求しないことです」なんです。「考えたり、反省したりするのも禁物」「過去も見たいもなし」です。いいなあ、そういうの。いいなあ、権力も富みも、名誉も愛も正義も、ぜーんぶうそっぱちだろうっ!!っていうわがままさ!なんだか、生きるのがとっても楽しくラクチンに思える、楽しい本です。

 続編もあるのよ、それはまた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 6日 (日)

天使のとき

天使のとき

 佐野洋子さんが書いた性愛小説っていうキャッチじゃなかったっけ?それで期待(大笑)した内容とは実はぜーーんぜん違う。これが性愛小説?と最初は思うんだけど、そうだよね、本質的には、たぶん佐野さんが正しいんだろうなあ、ってつくづく思う。

 家族って、夫婦や兄弟って、性愛と関係ないもっと明るいお天道様の下で健全っぽく暮らしています!みたいな風にかかれるのが幸せな家族像(お天気のいい日に公園に行って、お日様の下でお弁当食べるみたいなね)なんだけど、実は、実は、そもそも夫婦という独占的で排他的なのを前提とする性愛関係の上に成り立ち、その結果である子供を抱えてるわけだよね。当たり前で、当然だけど。兄弟姉妹たって、ちゃんと異性なのに、適当に兄弟姉妹だからというだけで、なんだか別の個人の異性と、母親とか父親という異性が、ごちゃごちゃと混在して暮らしている妙な集団なんだよね。家族って。そして、そこで自分以外の人間の原型を知り、異性の人間の原型を知り、でもそれは家族っていうことで、とりあえずおいといて、外の人間を知るようになる成長の課程があるんだよね。うん、うん。そこを描いた佐野さんの本。うん、そうだよね。と思う一冊。性愛小説を期待される方、全然違いますって(笑) でも、ある意味では、実に根源的な人間が居ます。その意味では、実にエロチックかも。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 5日 (土)

別れのあと

別れのあと

 小手鞠るいさんです。この人、ニューヨーク在住なんですね。で、舞台にNYが選ばれているのが多い5つの短編が入っています。

 それぞれの幸せや涙があるんだけど、そこまでのいろんなことがあって、それを乗り越えて、あるいはじーーっと打たれるにまかせて、あるいはとことん落ちて、それでも生きる、それでも、長い時間はかかるかもしれないけど、生きていく姿、というのがあります。それは、平々凡々な人生を送っているような、そしてたぶんかなりの程度、そうなんだろう、自分の人生ですが、それでも、強く勇気づけられる気がします。

 あんまり読んだことない作家さんだけど、好きになるかも。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 4日 (金)

愛しのローカルごはん旅

愛しのローカルごはん旅

 私、基本的にマンガは読まないのですが(そこまで手を広げる余裕がないんだわ)、この人の本は実は読んでいます。えーと、ひとりたび1年生とか、ひとりたび2年生とか、これまでもご紹介してきました。

 http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_7fc0.html

 http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_3bb7.html

 これは、彼女が日本のあちこちに旅にでかけ(埼玉も東京も大阪も山形も・・)、地元のものを食べ歩いている様子です。彼女はご自分で「背と気は小さいけど(彼女のは、150センチライフという本があります。164センチの私にはわからない、小柄な方の話がいっぱいでこれはこれで楽しい)、食い意地は大きい」とおっしゃるように、食べてみたい!という気持ちと新しい食べ物に対するチャレンジ精神がとっても旺盛なんですね。私、食い意地張ってますけど、チャレンジ精神は、ごくごく人並みで、新しいもの、なかなか手が出ないんですけど、彼女はすごい!ともかく、食べてみる!っていう気合があります。あちこちのいろんなものを、まあ、よく食べる食べる食べる!!旅の楽しみに、食もあることはもちろんよーーく理解してますが、こーんなに食べられる!?っていうくらい胃が丈夫です。本に出演していらっしゃる、ご両親も(高齢だと思われますが)よく食べる!いやはや、人生、こんなに食べられたら楽しいだろうなあ!と思いながら、実に楽しく一緒に旅する本です。

 裏表紙に体重計に乗って、ショックを受けてる様子(もちろんイラスト)も、よーくわかる気がする。楽しい本です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月 3日 (木)

トリアングル

トリアングル

 あの、歌人の俵万智さんの、初めての小説だそうです。もちろん、小説ですけど、気分を表した歌がここそこに挿入されている(でも、ジャマくさいほどじゃあない)のが、俵さんの小説っていうところなんでしょうか。

 8年もカメラマンと恋愛関係にあるフリーのライターの女性が主人公。彼には妻子があるけど、離婚して欲しいとか、自分とどっちが大切なの?なんていうことは全く考えてない。妻子の話もするし、正月は実家に帰るし、クリスマスは弟夫婦と過すし、全然このままでいいと思っている。そこに、7歳年下の、ちょっと話の会う若者が出現!彼とも恋愛関係になる。彼は、将来のこともちゃんとしたい!というタイプ、さてさて、どうなるでしょうか。っていう小説。

 なんだか、肩肘張らない、結婚、結婚っていわない、今楽しく過ごせるからいいよね、一緒に暮らさない方がいい関係だから、今はこれでいいよ、ということが、ストーンと腑に落ちる感じがする。無理がない。

 私ね、自分がさっさと結婚しておいて、変かもしれないけど、友達が付き合うと、すぐ結婚するかしないかで、ぐちゃぐちゃしているのを何例も見て、なんで?って思ってきた。いいじゃん、どっちでも。付き合っている、あるいは一緒に暮らしている、っていう状態がハッピィなら結構それでいいと思うんだけどね。逆に、一緒に暮らしている状態がハッピィじゃなければ、結婚してようがしてなかろうが、暮らさなきゃいいのにって思うんだけど。そのへんをやけに、すとんとそのまま生きている女性、そしてそれは俵さんご自身なんだろうけど、そういう主張を小説にしたな、っていう本。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 2日 (水)

ラブコメ今昔

 最近、楽しくて読んでいる有川さんです。有川さんを全踏破されているお友達のSさんが、「クジラの彼」(8月5日にご紹介)

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-6382.html

 が楽しめたのなら、これも楽しめると思うよ、と教えてくださったの本です。

 有川さんの本は、結構人気らしくって、本屋大賞をとった図書館戦争、新刊の植物図鑑ともに、地元の図書館では、予約待ちがいっぱいでまだ入手できてません。これは、偶然、棚にあったので、思わずムンズと手にとってきました。

 ネタは、また自衛隊、いや、仕事の中身とか国防とか、そういうことじゃなくって、カップルのどちらか、または双方が自衛隊の仕事をしているシチュエーションでの、恋愛小説です。なかなか会えないとか、訓練中あるいは、飛行中の事故がある仕事だとか、ちょっとした特殊事情があるということで、恋愛事情が描かれています。なんだか、シャイだったり、女の子の気が強かったり、男も、不器用だったり、その分、なんだかとてもかわいい2人です。

 このタイトル、マンガのタイトル?って思うタイトルですが、小説です。アタシ、なんだか、すれてない、こういう2人(あ、カップルだけじゃなくって、夫婦もあります。上官の娘と恋愛して、上官と娘の感情というのもあります)のお話、好きだなあ。

 そして、なんだか笑っちゃうんですが、私が楽しんで読んで、読み終わっておいておいた本、オットも、なんだか楽しんで読んでるんですよ。50にリーチがかかっているおじさんですよ(と、自分のことは棚に上げてますが)、なんだか、こういうかわいい恋愛からもっとも遠い人種のように見えるおじさん(あ、アタシも同年ですが、何か?)が、結構、楽しんで読んでいたので、なんだか笑ってしまいます。相手のことをいろいろ考えること、自分のシチュエーションと相手の立場を大事にすること、恋愛だけでなく、当然、仕事も家族もあって、その中で恋愛すること、ガマンすること、主張すること、その中で生活しながら、一緒に生きていくこと、そんなことのエッセンスがぜーんぶ入っていて、なんだかほほえましい恋愛話です。おじさんとおばさんも楽しんでまっせ!

ラブコメ今昔

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年9月 1日 (火)

影踏み

影踏み 推理小説

 「半落ち」という映画にもなった作品で一躍有名になった横山さんです。半落ちもそうだけど、なんだか人情的な要素を取り入れてるんだよね。あれは、たしか警察官の犯罪で、アルツハイマーの妻を殺してしまう(寺尾さんがやったんだよね)話です。でも、犯行の前後に、どうもつじつまが合わない時間がある、そこに何があったか、という点が焦点になっていて、そこにホロリとさせるネタが潜んで居るわけだ。

 これは、ある夜中に入る泥棒の専門家(?)が主人公。無理心中で亡くした双子の弟が、いつもアタマの中に居ると設定。いやはや、泥棒さん業界のことは、全然知らないんだけど、いろんな種類と専門があって、隠語や決まりごともあるんですねえ、ほおおほおお!!泥棒稼業の世界のいろんなことと、現実の恋人の問題など、もちろん対する警察との交渉(???)などいろんな要素があるんだけど、どこか、ほろりとさせることを入れてるところが横山さんらしいです。一話完結の連作みたいになっているから、何かの連載なのかも。ほお、旨いなあと思います。

 これ、新幹線の中で読んでいて、品川で降りるときに、ふと隣の席においた、もう一つ隣の席の女性のバッグ。でっかく口があいていて、中の財布が丸見え。本人、爆睡中、多様なすり、置き引き、どろぼうのいろんな種類の小説を読んだあとだったので、ほおお、盗れるなあ、なんて思って見てしまいました。いやはや、これでやってみたら、いかんのです。もちろんやりませんが、こういう小説にはまって、横にそういう状況、フとしたはずみでなんかしちゃわないようにしないと危ないです。はい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月31日 (月)

疑装

疑装

今年の春、3-4月頃、なんだかはまっていた堂場瞬一さんの鳴沢了シリーズ、全9巻、一応、一冊ずつで事件が解決するので、順番メチャクチャで手に入るところから読んでました。最後の2冊だけは続いていて、全部が終るんだけど・・

 久遠(上下)が最後の2冊ね。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-b57a.html

 なんだかいい加減な順番で読んでいたら、飛ばしてたのもあったみたいで、あれ?これ読んでないなあ、と思う途中の一冊。日系ブラジル人問題、そこの子供の学校での受入れの問題、言葉や習慣や、低賃金問題などを絡めています。あるひき逃げ事件の後、犯人と思われたブラジル人が出国してブラジルに帰ってしまう。残された子供が失踪?というところから鳴沢の疑問が生じます。なんで、子供が困ることがわかって、出国しちゃうんだろう!?

 鳴沢は、警察官のメンツだとか、出世だとか、そういうものはいつもどうでもいい。大切なのは、被害者の無念と、本当のことだけ。守るべき規範は一度もぶれずに、法だけ、という人。ただ、警察官全部がそうじゃない、軋轢がいっぱいあるけど、どこかココロの底では信頼を得られる、そういう人物像。単純といえば、単純すぎるくらい単純。でも、絶対に、優先順位がひっくり返らない。友達とか先輩だから、ということが、何か大切なものに優先することがない、その堅物ぶりが、わかりやすいです。

 堂場さん、鳴沢シリーズは面白いんだけど(まだ、読んでないやつ、シリーズの中にもう一冊見つけちゃった!)、スポーツ系の小説は、どうも最後まで読みきれてないです。なんでかなあ、スポーツ嫌いじゃないんだけどなあ。9冊、どーっぷりはまりたい人には、お勧めのシリーズ@堂場さん、です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月30日 (日)

アンコ椿は熱血ポンちゃん

アンコ椿は熱血ポンちゃん

 いや、はや、このシリーズ、なんだか知らないけど、無意味なタイトルが並ぶよねっていう話は、以前にもしたような気がします。

 またまた、意味不明なタイトルだけど、でなんだか、中身があるのか?って言われると困るけど、好きなんだもん。山田さん、今は吉祥寺とニシオギの間にお住まい、オットさんは軍の人でアメリカに帰っちゃっているので基本的に一人暮らし。飲み友達とか、仲のいい友達とかと、中央線周辺で暮らしています。そんな、彼女のぼーっとした(本人談)、あるいは飲んだり食ったり、遊んだり、タマには小説を書いて、サイン会をして、宇都宮のご家族(ご両親と妹さん)、三島の大学に行ってる姪御さんのカナちゃん(もう、大学生かよ!と親戚のおばちゃんのような感想を持つ愛読者だ)とのあれこれ、ごくごく日常的なことばかりで、何があるの!?と言われると困ります。

 でも、なんだか、友達を大切にして、家族も大切にして、あれこれ楽しいことを考え、しかけ、おいしいものを食べるのも大好きで、贅沢も、気取りも、パリに住む作家のTさんのようなカッコつけも皆無だけど、私は、そういう暮らしのスタイルと(まあ、なんだかいつ仕事しているんだああ?と思わないでもないけど)、彼女の気取らない「ただのあばずれ」(大笑)の立ち居地が好きです。ちゃんと、人の心がわかり、地に足がついて(酔いどれ足かもしれないけど)、せつなさも、憤りも、やるせなさも、ちゃんとわかる人が、わかるような暮らしをしているな(何だか説明になってない!)って思うのです。どーってことないし、たいしたこと書いてないし、でも、楽しく、やっぱり読み続けるシリーズ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月29日 (土)

再発

再発

 仙川さんです。彼女の医療小説は、これまでも、いくつかご紹介してます。

 医療ジャーナリストだったのが、辞めて専業の作家さんになったんですよね。

転生

  2009年8月19日

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-5316.html

 他の本は、この転生の記事にリンクが貼ってありますので省略。

今回は、狂犬病?がネタになっていて、そこに東京の大学病院を辞めて父親が急死した実家の医院を閉めないために田舎に戻ってきた女医さん、彼女の高校時代の友人の関係、近所の親戚の子供、という設定の中で、原因がわからない、急死があいつぎます。導入部もコンパクトで、ぐいぐいひっぱるし、楽しんで読める一冊になっています。

 日本では、もう数十年、狂犬病で死ぬ人は亡くなっています。野犬はいないし、人に飼われている犬は、ちゃんと登録して予防接種を受けていますよね。でも、狂犬病は犬だけの病気じゃないし、なんだかペットの種類が増えていることもあって、可能性はあります。地球全体では、年間5-6万人の人が狂犬病で亡くなっています。この病気、予防接種があるのですが、日本で暮らしている場合、普通は予防接種をしていないです。そして、怖いのは、もし発症しちゃった場合の致死率は100%に近いということです。

 で、私!思い出したんです。昨年の9月トルコ旅行の時、カッパドキアのハイキングの時に、野犬の群れのテリトリーに足を踏み入れちゃったことがあって、あわてて出てきたんですけど、ちょっとだけ、足の後ろをかまれたんですね。いや、手当てするほどの傷じゃなくって、ちょっとの傷で(なので、犬も本気じゃなくって、脅した程度なんですけど)、ほっておいて治ったくらいなんですけど。

 あの犬、注射してないよなあ!!と思ったら、怖くなってしまいました。発症したら確実に死にます。今さら、あの犬が病気があったかどうかは調べようもないっ!!そこであわてて調べました。噛まれた後に手当てはないのか!?調べたら、暴露後の注射というのが、あって、5-6回にわたって、打つことができる、というのです。わおお!!これだ!と思って、翌日、保健所に電話で聞いてみました。

「狂犬病のことをお伺いしたいのですが」「犬の登録はお済ですか?」

「いやいや、人間のことで」と

担当課にまわしてもらいました。

「あのー海外で野良犬に噛まれたんですけど」

「(慌てて」いつ噛まれましたか!」「えーと、えーと、11ヶ月くらい前です」

「(脱力)あーーー狂犬病は、1-3ヶ月くらいの潜伏期間です。ごくごく、稀に長いこともありますが、11ヶ月前ということであれば、もう発症しないと考えてよいと思います」

 なーんだ、遅かった。いやはや、帰国後、これを読んだら、あわてて暴露後注射を6回もしたところでした。狂犬病の知識は、必要ですわ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月28日 (金)

こぐれひでこのごはん日記 秋冬編

こぐれひでこのごはん日記 秋冬篇

 大好きなこぐれひでこさんのごはん日記です。これってブログを書いていたのが本になったものらしいです。毎日、普通のものをオットである徹さんと食べているときあり、結構よさげなレストランに行って、すばらしくおいしそうなもの食べているときあり、なんだか、淋しいもの食べているときありの、ごく普通の日常なんです。それが気取ってなくっていいよね。

 おにぎりとお味噌汁、なんていう日ももちろんあるし、オットさんが居ないときでも、ちゃんとお皿を数皿並べて食べてたり、一人鍋しちゃっているときもある。そうだよね、そうじゃなきゃなあ、って思います。

 我が家は、セーネンがこのごろ、ますます不在で、全然居ません。休日に2人となると、ちょっとごちそう並べようっていう意欲も乏しくなりがちだけど、2人なんだから、大人好みの食卓でのんびりしたいという気持ちもあります。面倒だ、っていうのと、これからセーネンはますますもっと完全に居なくなるんだから、中高年2人の生活を楽しめるようにならなきゃなあ、という気持ちが交錯します。平日なんて、もっとひどいです。だいたい、3人どころか2人も揃わないですもの。でも、一人でも、ちゃんと食べて生活できるヒトになりたいという私の気持ち、面倒だという気持ちが、綱引きしている日々です。こぐれさんは、最大で2人、徹さんもお忙しそうですぐ1人、そんな食卓を眺めます。

 この本について、ご夫婦で話しています。あの時、あーだった、こーだったと、もう9年分以上のごはん日記があるので、それを眺めて思い出すのが楽しいと話しています。私のブログ、何年かたって、一番懐かしく楽しめるのは、きっと本人なんだろうな、と思います。なんだか季節が合わないけど(これは、秋冬編です、このくそ暑い最中に鍋の話・・・)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月27日 (木)

家族の言い訳

家族の言い訳

 森さんって、作詞家さんなんですって?実はよく知らなかったんですけど、なんだか話題になっていた本なので、文庫を見かけて手にとってみました。だいたい、著者が男性か女性かさえ知らなかったので(男性らしいです)、前知識ゼロです。8つの短編が入っているのですが、短い中に、ちゃんと泣かせところをうまく入れているなあ、と思います。作詞家さんと聞いて、なーるほどなあ、って思うムダのない起承転結って思います。巧みな方です。

 それぞれの短編に、ちょっと辛いこと、過去のこだわり、うまくいかないこと、などを抱えて人が居て、まあ、根本的に何か大きなことが起きるわけじゃないんだけど、いろんなことで(偶然の出会いだったり、他の家族や友人の支えだったり)、少し癒される物語が、ムダな展開やたるんだところがない短いストーリーにうまく入っているなあ、ちゃんと、ホロっとさせるし。うまいなあ、と関心する一冊。 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月26日 (水)

シモネッタのドラゴン姥桜

シモネッタのドラゴン姥桜

 米原さんの通訳お友達で、フェロモンいっぱいFカップ(と本人がおっしゃる)、ともかくシモネタが大好きの、シモネッタさん、田丸さんの子育てエッセイです。

 田丸さんのイタリア関係のエッセイはすでにご紹介してます。

2007年1月25日「シモネッタのデカメロン」

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_9ad0.html

2007年1月28日「パーネ・アモーレ」

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_f984.html

それに、2009年4月27日「目からハム」

田丸さんにオトコの子がいらっしゃるのは、存じておりましたが、開成→トーダイ文Ⅰ(法科系ですね)→学部長賞で卒業→至上最年少で旧司法試験合格、なんてことは全然知りませんでした。彼女が、こういう超優秀なお子さんをいかに育てたか!っていうのを、「わが子をトーダイに入れる方法」として書くわけないですよね。田丸さんを少しでも知ってたら、え??って思います。タイトルからして、たぶんなんだかはやったテレビドラマのマネッコでしょ(見たことないけど)。ともかく、「どうやったらできる子になるか」「家庭ではどうしたらいいか」なんていうことが手をかえ品をかえ、本屋には本がずらーーーっと並び、ダイヤモンド、プレジデント、アエラ、なんだか、そんなことばっかりやってますよね(ってタイトル読むだけだけど)。

 そういうのを読んで、こうすれば我が家の子供もトーダイに入ることができるはず!!って、やっているご家庭があるんでしょうかね?あ、あるから、本が売れるのか。私は、なんだか、本気かよ、って思うんだけど。マジメに読んで、まじめに「会話に考えさせる要素を取り入れる」とか「一緒に調べてみようって言う」とかやっている人もいるんでしょうかね。で、トーダイに入れたいと?なんだかさっぱりわからない、不思議な世界なんですけど。絶対にそういう本を手に取らない(いや、自分のムスコがトーダイにはいりそうもないとか、すでに大学生だから、とかじゃなくってですよ)私が、こういう本を読んでみようと思ったのは、田丸さんだからです。ワダさん(例です、例)じゃないからです。だって、ムスコ(なりムスメなり)を、トーダイに入れようと思って子育てしませんもの、あたし。なんていうか、ちっとはアタマが動いたほうがいいとか、何かを考えられた方がいいとか、いろいろ感じたり、思いばかることはできた方がいいし、あんまり鈍感なオバカになってもらいたくはないけど、トーダイ入れよう(別にトーダイじゃなくても、キョーダイでも、ワセダでも、ケーオーでも、ハンダイでも、あるいはハーバードでも、オックスフォードでも、イエールでも、どこでもいいけど)と思って育てないもんなあ。私が考える、アタマが動くとか、考えられるとか、鈍感なオバカじゃないということは、トーダイに入るとか入らないとかとは全く別のことだもんなあ、って思います。(ちなみに、私は親会社が高学歴大好きなことと育った環境から、箒で掃いて分類できるほど、老若のトーダイ出を見てきてます。その中には、アタマが動く人も動かない人も、考えられる人も考えられない人も鈍感なオバカもそうでない人も当然、多種多様に揃ってますわ) だから、田丸さんですから、こういうタイトルつけて、すごくわかりやすい経歴のムスコさんで、どういう本を書くのかなあ、とちょっと楽しみに手に取りました。ちゃんと、いい意味で裏切ってくれるでしょうか?

 彼女は、イタリア語通訳で、その仕事を通して知ったイタリア人のことを、すごく面白い!!とこれまでの、エッセイで紹介してます。息子さんのことも、そう思って紹介しているんだなあ、と思います。5歳@保育園児のとき、「ユウタ君、イタリア語でクリスマスって何て言うの?」と保育士さんに尋ねられ、「○○○○・○○だよ」と、イタリア語っぽい発音の巻き舌で、ちゃんと応えたユウタ君。実は真っ赤なウソで「センセーが知っているわけないから、てきとーに応えておいたよ」とおっしゃったガキ。「これは、詐欺師か政治家か弁護士になるしかない」というくらい、ともかく口がたち、つべごべいいまくり、面白い人間だったようです。同時通訳という穴をあけられない仕事を続けながら、ベビーシッターさんや家政婦さんに助けられて仕事を続けたWM話、祖父母を大切にして、愛犬の死に際しては、「犬が死にましたので忌引きをとります」という青年になるまでの、さまざまなエピソード、面白い人間だなあ、と感心します。ただねえ、嫉妬?やっかみ?じゃないと思うんだけど、あまりにもできすぎ。サッカー部で応援団で、挫折はトーダイの前期試験に落ちたことだけ(ちゃんと後期で合格)、女の子にもてて、高校生でコンドームを通信販売でガロン単位で購入している男です。できすぎですよ、田丸さん。もうちょっと、あれこれないと、あんまりじゃあないですかね。

 もちろん、「子供をトーダイに入れる法」とは全然違う、子育てエッセイですが、そして、最後に彼が「オレはもうこの家には帰ってこないんだよ」といって、あっさり荷物をまとめて出ていってしまうところは、母の寂しさもちゃんと受け止めていて、共感するところもおおいにありですが、結果の人間(ムスコさん)が、できすぎることだけが難点。おもしろい子育てエッセイであります。決して、凡人をトーダイに入れる方法は学べません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月25日 (火)

かあちゃん

かあちゃん

 重松さんの新刊です。あ、あんまりたくさん書くから、すでに新刊じゃないかも(笑)故郷に居る母親が、病気で入院します。父親は30代で交通事故で亡くなっていて、一人息子は東京の大学に進学し、東京で就職し、結婚して、故郷に母親が一人で暮らしています。

 この父親、車を運転していて交通事故でなくなるんですが、同乗していた会社の人も同時に亡くなっています。運転していた亡くなった父親の責任を感じて、ずーっと、ずーっと同乗者の家族に謝り続ける母親が居ます。すでに事故から30-40年、同乗者の奥様もなくなり、小さかったお嬢さんも子供を持つ年頃になります。そこで、初めて、交通事故の遺児(30代のムスコと、同乗者のやはり同じ年頃の娘)が知り合います。子供のいじめの問題で、被害者が自殺を図り、未遂に終ったものの転校していってしまいます。自分のしたこと、どうやって謝ったらいいのだろう、謝って許してもらえるとは思わないけど、謝るってことはどういうことなんだろう、30年以上、亡き夫の替わりに、同乗者に謝罪をし続けた母親と、「謝る」っていうことでつながります。

 年老いた入院した母親、同乗者の娘で、いじめに加担しちゃったムスコの母親、そのクラスの子供たちと、母親、いろいろな母親が描かれ、親子関係、家族関係が描かれていきます。そこで、謝るってなんだろう、許すとか許さないって何だろう、という命題が何人もの人によって考えられます。

 重松さんがうまいのは、今回の物語は、とても輻輳的に人間関係ができていること、答えを早急に求めないし提示しないで、いろいろな場面を描いていることかな、もう技術っていうか、技能派っていう域に達してるなあ、って思います。

 

 ただね、どうしてかね、かーちゃんって、子供のために自己を犠牲にし、働き者で正直で、家族思いで、マジメなんだよね。全員がさ。ほんと?あたしもかーちゃんだし、かーちゃんも居るけど、そお!?そんなに自己犠牲してないし、ずるいところもいっぱい持ってるし、家族のことも考えるけど、当然、自分も大事だし、それほどマジメじゃないでしょ。特に虐待するとか、あるいは子供に万引きさせるとか極端な母親じゃなくっても、普通の人間なんだから、「まじめ」「働き者」「子供大事」「自分のことは二の次」ばっかりかよ、っていう気がします。その押し付けが、非まじめ、非働き者、自分大事な、私には、鬱陶しい気もする。そんなの幻想でしょ。かーちゃんだって、普通の、ずるい適当な人間なんですけどね。そういう、普通の適当にずるく、適当にいい人で、適当に非まじめで、適当にやってるかーちゃんも、書いて欲しかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月24日 (月)

Close to you

Close to you

 久しぶりに柴田としきさんです。久しぶりに図書館に行ったものの、予約していた本があまり来てなくって、せっかく来たんだから(結構遠いんですよ、まあ、お散歩にはいいんですけど)もうちょっと何か借りていこうかなあ、と棚をぐるーっと見回して、目に付いた本です。気分としては、ハードなミステリーじゃなくって、というところだったので、

 失業したオットが、それまでDINKS風に暮らしていて、気がつかなかった住んでいるマンションのいろんな問題に気づくようになるというストリーは適度に生活感あり、適度に謎もあり、楽しめました。

 柴田さんが、もちろんかなり多作な作家さんなんですけど、たぶんご自宅では、ちゃんとお母さんやって、地域の人とも付き合って、普通に暮らしているその生活感覚、があって、だから、こそ今の作品をお書きになられてるんだなあ、と思うところがいっぱいあって、彼女が大切にしているものの片鱗を感じた作品でした。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2009年8月23日 (日)

さよなら、日だまり

さよなら、日だまり

 平田俊子さんって、ずっと気になっている人でした。詩人で、小説も書く方です。どちらも、一度も読んだことがなかったんだけど、どこか気にしていた人です。これまで機会がなくて、出会ってこなかったけど、偶然の出会いで、この本を読んでみました。

 で、なんだか、こういうのが平田さん!?っていう気分です。小説としては、新しい作なんだけどね。

 ある夫婦が、ちょっとしたことの積み重ねで、こわれていく様子です。そこには、悪意を持つ他者も居るし、なんだか策略にはまったいくような、ちょっとした沼地でこけただけなのに、ずぶずぶずぶずぶと底なしにはまっていって、気づいたらでられなくなっちゃうような、そんなことが積み重なります。劇的なすごいことが起こるわけじゃないのに、人と人とのつながりって、こういう風に少しずつ壊れていくのかな、なんて思います。そういう本です。でも、これが平田さんなんだろうか!?どこか、しっくりこない気がしてなりません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月22日 (土)

神去なあなあ日常

神去なあなあ日常

 普段しらない業界のお仕事について、ってそれだけでもへえ、へえ、の連続です。

 その上、もっと知らない自然とのかかわり、少ない従事者話として面白かったのが、以前にご紹介した猟師さんのお話

 「ボクは猟師になった」です。これはものすごく面白い、ワクワクする本です。未読の方には、ぜひぜひお勧め(ってしつこいね)

 7月26日です

 http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-ce8a.html

 あたし、猟師さんのことって全然知らなかったんですよ、ほおお、ほおお!!

 そして、日本標準産業分類にはあるものの、衰退していると思われている林業、まあ、想像はつきそうなんだけど、具体的には全然しらない林業の世界のこと。これまた、へええ、へええ、の連続なのがこれ。ただし、三浦しおんさんの小説だから、上述の猟師さんになった体験記じゃないんだけど、自然を敬い、山の神を大切にし、自然の中から恵をいただく姿勢、その中での人間の連帯と協力、楽しみ、そんなものが全部入っていて、楽しい小説になっています。

 ある横浜のできのよくない高校生、卒業して進路が決まっていない。まあ、適当にフリーターやるわさ、と思っていたら、林業の補助金を得る研修生として、山奥の神去村にやられることになった。え?携帯通じないの?コンビにないの?ネットカフェも、カラオケもないの?オレ一人でそんなところで!?ともがいているうちに、どんどん自然の魅力、おじさんたちの魅力、山の魅力、そして、美人の村の先生の魅力に絡め取られていく様子が楽しいです。山で働くおじさんたちが、自然を敬い、恐れ、大切にしながら、山で過し、木の世話をし、木を得ていくための工夫と知恵、累々と積み重ねられた人類の叡智を感じます。ほお、ほお、って何度も思います。楽しかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月21日 (金)

図書館の神様

図書館の神様

 

瀬尾まいこさんの本です。彼女の、学校を舞台にした本、以前ご紹介したんですけど、とても面白いと思いました。えーと、これね2008年5月14日「ありがとう、さようなら」http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_57f9.html

瀬尾さんが、京都の現役の学校の先生と知った!ということを書いた記憶があります。

 このが、とても楽しい気分になる本だったので、たぶん学校関連ぽいな、と思ってこの本を借りてきたのです。彼女の2作目の作品らしいです。

 期待にそぐわず、高校時代に部活(バレーボール)をある事件をきっかけに辞め、逃げるように故郷から離れた大学に行って、その後臨時採用になった学校で、文芸部という本を読まない人間にはおよそにつかわしくない顧問、しかも国語の講師になった主人公が、部員や、家族や、恋人の中で、元気になっていく、それも無理せず、彼女らしく、どこか楽しそうになっていく姿、生徒もいいし、教員仲間もいい、期待にそぐわず、楽しい気分になる本でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月20日 (木)

償い

償い

 矢口敦子さんです。売れた本らしいですけど、読んでなかったと思います(忘れているだけかもしれませんけど・・)

 極端な話ですけど、幼い時にヒットラーが重篤な病気にかかったとして、その命をなんとか助けた医者っていうのが居たとしたら、彼は数十年後、後悔したでしょうか?あの時、自分が助けなければ、何百万人のユダヤ人の命を奪われずに済んだかもしれないって。肉体的に傷つけることと、決定的に精神を傷つけること、って同罪じゃないのか?

この小説の命題は、究極はこの2つです。青臭いと言えば、かなり青臭い議論です。投与した薬剤の問題で、患者を亡くした医者、教授になることに必死になっていて家族を省みなかったために、妻と子を亡くし、生きる屍のように路上生活者になった元医者が主人公。彼が出会う、過去に彼が救った少年、彼を救ったことは正しかったんだろうか?

 例えば医者であれば、患者が、たとえ殺人犯であろうと全力を尽くして治療することが基本だと思うのです。悪人は治療さえ受けられないというのではないはずです。たいだい、悪か善かという価値判断は非常にあいまいな部分や時代によって変化することも多いので、そういうのを条件としないで、治療することになると思うのです。そして、治療した人が、その後、多くの人を救うか、あるいは多くの人を殺すか、わからないじゃあない?

 ただ、自分が至らなかったことから、患者を亡くした、家族を省みなかったことから家族を傷つけた、その2つの罪を負って、路上生活者になった医者が、人生を捨てきれずに少年の犯罪に関わっていきます。

 設定は面白いし、展開もいいんだけど、どうも突き詰め方が甘くて、もどかしいだけで終っていきます。いまいちだな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月19日 (水)

転生

転生

 

仙川環さんは、「感染」2008年7月20日

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_55cc.html

「治験」2009年4月3日をご紹介してます。

http://ryosroom.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-aa6f.html

医学部を出て、医療ジャーナリストをやっていて、その後、作家に専念していると聞いています。ミステリーのテンポもよく、もちろん専門を生かしたネタの扱いもうまく、ほどよいボリュームの作品を書く方だと思っています。この「転生」は、文庫書き下ろしだろそうです。

大手新聞記者をある事情があってやめた女性の元に「アナタの子供なんだから引きとてください」と生後3ヶ月の子供が残されます。え?そのときに、彼女は、記者をやめて留学するための費用ほしさに卵子を売った(法的には違法です)去年のことを思い出すのです。誰が?なぜ?私の卵子を使ったの?不妊治療ということであれば、その親は子供を育てるのじゃないの?この子はなぜ生まれ、そしてなぜ、捨てられたの?

 彼女の孤独で、かつ先のわからない調査がはじまります。いやはや、この女性のパワーと調査力がすごいんです。テンポもよく、警察と、犯罪を隠蔽しようとする人と、子供の身元を調べようとする彼女の三つが動き出します。うまいわあ。なんだか、目が離せない、適度な長さのミステリーになっています。最後の終り方も私好み。仙川さん、今のところ、チェックしたい作家さんです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月18日 (火)

捨て色

捨て色

 玉岡かおるさんは、今まで長編しか読んたことがありません。「天涯の船」「をんな紋」「お家さん」「銀のみち一条」など、女の一生ものの長編をご紹介してます。(ご興味がおありでしたら、左下の検索で検索してみてくださいね。私はとても好きです)

 彼女の短編を創めて手に取りました。現代ものも初めてかな。

 うーん、彼女の歴史的長編小説が好きな私としては、ちょっとあんまりピンと来ませんでした。現代物も、短編も。ちょっとした女性同士の心理的なことなどを絡めて恋愛話などを書いているんですけど、うーん、もちろん、小説誌なんかの要請で、短編も書かなきゃならないこともあるんだと思うし、現代物にもチャレンジしたいと思うのかもしれないけど、じーっくりした長編で発揮してほしい人です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月17日 (月)

走れ、T校バスケット部 1と2

走れ!T校バスケット部

 走れ!T校バスケット部 2

 うーん、小説としては、なんだか稚拙。でも、登場人物たちに免じて許してあげようっていう気になるスポーツ少年小説。劇画風だし、ストーリーも展開もまあ、単純だけど、漫画か、映画にしたらいいんじゃないかな、スポーツする少年、それもエリートスポーツ校じゃなくって、いつも一回戦負けのチームに、エリートスポーツ校でいじめにあって退学した少年、ものすごく縦横が大きい関取みたいな少年なんかが入ってきて、大変革を起こすっていうのも、まあ、しばしば見られるお決まりの形。でも、なーんとなく、楽しい気分。おもしろい映画にしてほしいなあ。

 なんだか1で物語が完結して、登場人物の将来までささーーと描いているので、2はまた全然別の話なのかな、と思っていたら、なんだか、また時代が高校時代にまで戻って、試合の様子とか全国大会に行くかどうか、みたいなところが詳しく書かれているのです。この脈絡はよくわらかない。

 この物語は、1、2巻を通して、スポーツの勝利優先のチーム(私立名門校)が、勝つためだけに練習をして、そのあおりでか?勝てないメンバーに対するいじめや、あるいはチームがぎくしゃくして、陰湿ないじめがある、一方、無名の都立校のT校は、全然精鋭メンバーじゃないのに、やる気とチームワークで技術力を上回る結果を出すという対比を何度も何度も描きます。著者が書きたいのは、こういうとことろ、、天才を集めても、精神的なものをちゃんと教育しなければ、学校教育の中で行う部活に意味はないんじゃないか、ということなんだろうね。そういう描き方をしています。まあ、小説としてはトーっても稚拙だろうと思うけど、凡才のかき集められたバスケット部員のキャラクターがなんだかかわいいので、読んでしまった本です。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年8月16日 (日)

空の中

空の中

 ぼちぼち読んでいる有川さん。あたし、SFチックな本って苦手なんだよなあ、って思っているんですが(どこまでも超現実的な面白みもない性格なんですよね)、これ、まあ、なぞの「フェイク」とか「白鯨」という高度の空間にいる空中飛行物体が出てきて、まず自衛隊の戦闘機を2台墜落させて、高知の海で発見されて、分裂して、あれこれ破壊して、とSFそのままなんだけど、でも、有川さんだから楽しめました。

 なんでだろうって考えてみると、登場人物が魅力的なんですよ。もちろん、自衛隊の人たち、事故の調査を担当する人とのやりとり、気が強いかわいいパイロット(気が強い女性を描かせると、有川さん、うまい!なんだか、かわいこぶらない様子が、とーってもかわいいんですよ、変にかわいこぶってる人より、ずーっと魅力的)、それに高知の田舎の中学生や、おじいさん、なんだか、登場人物が魅力的で、彼らを有川さん自身が、とっても好きなんだなあ、って思える。その中で、ちょっと変な飛行物体が出てきても、やっぱり現代の人間の物語なんですよ。で、とっても楽しい。たぶん、この作品、彼女(あり川さん、女性です)の自衛隊3部作の一つだと思われます。

 もっと読みたい有川さん!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年8月15日 (土)

ガン病棟のピーターラビット

ガン病棟のピーターラビット / 中島梓/[著]

 中島梓さん、つまり栗本薫さんです。私、栗本さんの方は、全然読みません。120巻だか、130巻だかあるというグイン・サーガ(でしたっけ?)も、今のところ、まったく興味がありません。栗本作品は、全然読みません。ただ、同一人物だけど、中島梓さんのものは、読んでます。

 彼女が、当時(といっても20年くらい前でしょうか)、略奪婚とか言われて既婚の男性を離婚させて結婚し、その後、息子さんを産み、旺盛な(だって、130巻とかですよ!)作家活動を続けながら、乳がんになって手術して、まだガンを自ら語ることがタブーだった時代に、その本

 「アマゾネスのように」(今見ると、かなり自己陶酔したタイトルだとは思うけど)を出して、というのはずーっと読んできています。彼女の作家としての(つまり栗本薫としての)作品はともかく、人生の選択とその中でもがいている姿は知ってきたつもり。

 その彼女が50代半ばになって、乳がん?そんなの手術に入りませんよ(と医者に言われる)、今度のは、大きな手術です、という手術を受けなきゃならない、下部胆管ガンになって、その手術を受けた前後のエッセイです。術後、病理の結果から胆管ガンじゃなくって、すい臓がんであることがわかります。これは結構重要なことです。すい臓ガンの5年生存率は今でも4人に一人くらいだそうですから(胆管ガンは一挙に4割くらいだそうです)。

 お子さんはすでに大きくなって(24歳くらい)、残していく不安もさほどない。早期発見とは言え、乳がんよりはわかりにくい場所で、胆管(胆管っていうのはY字になっていて、Vの部分にできる腫瘍はみつかりにくいが、Iの部分にできる腫瘍は道がふさがれるのが早期発見できるそうです。彼女のはIの部分にできたものなので、胆管が詰って、黄疸が出たことが早めに発見されたようです)のガンです。その中で、来し方行く末を考えつつ、手術に望み、その日から立てとか歩けとか言われるハードな扱いをうけ、日常生活に戻っていくまでの記録です。一人の人間として、自分で自分の世界を作り上げてきた人間として、人生があと少しかもしれない、月単位で考えなければならないのかもしれない、と思うときのこと、それから少し回復してきながら、体を少しずつ慣れさせて行っている様子、そんなことがあります。

 4-5週間入院していると、そしてその後の自宅療養も含めると、ずいぶん浮世と離れて暮らしているわけですが、その中で、自分にとって大切なことは何か(彼女にとっては、書くこと、そしてオットさんとの暮らし、自分で自分の食事を整えて食べること)がよくわかりますよね。そして、普段の生活がいかにそれら以外のうるさいことに追われているかも。

 たとえば、入院していると、消費っていうこととほとんど無縁になるわけです。食事は出てくるし、あとは寝巻きだ。普段の生活で、多くのことが「買え!買え」と叫び続けている、その真っ只中にあって、ニュースもテレビもネットも、いかに無駄なことが多いことか、ということを気づき始めます。そんなことが、のんびり口調で語られています。ほんとになあ、と思うことも多いです。自分にとって、誰が、何が、どういうことが一番したいのか、一番大切なのか、そんなこと、ガンにならなくていいから考えたいな、と思います。

 40代、50代で亡くなる著名な女性のニュースを耳にします。如月小春さん、米原万理さん、中尊寺ゆっこさん、池田晶子さん、え?あの方、まだお若いのに、と思うほぼ同年代の訃報を聞くこともあります。多くはガンとかですね。

中島さんのガン闘病記です。中島さんは、5月末にすい臓がんで亡くなってます。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年8月14日 (金)

断絶

断絶

 堂場さんの新作単行本です。ある地域の歴代の議員の引退と世襲問題、そこに立ちはだかる、後継者の女性問題。自殺?かと思う女性の事件。刑事の親子、議員の親子、議員秘書の親子など、複数の親子の感情、仕事や不正に関する感情が交錯します。親子の情、それに流される人、正義とは別と考える人、さまざまです。もちろん、ライバルを落としいれようとする政争もあります。

 堂場さん、こういう刑事ネタを書かせるとうまいなあ、と思います。スポーツネタの本は、どうしても最後まで読みきれないで挫折しているんだけど、なんでかなあ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月13日 (木)

エバーグリーン

エバーグリーン

 豊島ミホさんです。中学3年のとき、ひょんなことから、10年後にあたしは漫画家になっている!オレはロック歌手になっている!10年後に会おうね、と約束した2人の男女の中学生のその後のお話。中3っていったら15歳、その後、別々の高校に行くことになって、とんと会わなくなって、10年後、25歳だ!

 女性は、紆余曲折のあと、有名じゃないけど、漫画を書いて仕事をもらえるようになっている。たいへんで、たいした稼ぎにもならなくって、辛いこともあるけど、一応、漫画を書く、ってことは続けてる。男性は、バンドもなんとなく解散しちゃって、リネン配送会社の運転手として働いている。その生活に甘んじちゃって、彼女もでき、なんだか、このまま落ち着いちゃいそう。

 そこで10年がやってくる。え?あいつ、漫画描いてるんだ、ほんとに描いてるんだ!そのあせり、自分は何者にもなってないじゃあないか、つまらない仕事と手軽な彼女の生活をしているんじゃないか、というあせりと焦燥。10年目を目前に、あがいてみます。

  なんていうか、子供の時の夢ってなんなんだろう、って思います。私、あんまり○○になりたい!!という夢を強く持っていたわけじゃないけど、弱い夢にコンサル研究員なんて、まさか入ってません(大笑)、だいたい、子供の頃、知っている職業なんて、現実の職業の数%でしかないわけで(それも、子供と接点のある職業に限定)、そういう夢をかなえる人ばっかりだったら、世の中は成立しないですよね。世の中、そんなにわかりやすい職業だけで成り立っているわけじゃあないもん。強く思えば夢はかなう、なんて単純で簡単なこと、私は実はぜーーんぜん思ってないです。そんなものじゃないです。夢と志とを混同してはいけません。

 男性は、あせったりあがいたりしたあげく、自分の現実と、現実の生活を受け入れ、そこに誇りをもって、10年後、彼女と会いにいきます。うん、そうでなくっちゃね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月12日 (水)

ハブテトル、ハブテトラン

ハブテトルハブテトラン

 ハブテトルって、広島あたりの方言で、いじけてる、とかすねてるってことなんだってね。東京の学校で勉強ができて、マジメで、いつも学級委員をおしつけられるような子が、その重圧っていうか、プレッシャーなんかでうまく学校に行かれなくなっちゃった。一学期は学校を休んでいたんだけど、2学期は田舎(広島の田舎、お母さんの故郷)で、おばあちゃんちに住んで、そっちの学校に行くことにする。お父さんとお母さんは、仕事があるから東京に残る。彼は、一人で、おじいちゃんとおばあちゃんちに暮らし、お母さんの同級生が学校の先生をしている広島の田舎の学校に通うことになる。

 そこで、ハブテトル、という単語を知る。いろんな友達、大人、田舎のゲタリンピックなんかを体験し、しまなみ海道を通って、今治に行く体験をしたり、彼が、すこーし成長し、また、東京へ帰っていくまでの物語。中学生向きくらいなんだけど、無理しない視線で子供の世界を書いていて(ほら、大人が子供の世界を妙に無理して作り事にして書いているのは、なんかいやらしいでしょ)、楽しめる作品。お子様にもたのしめそう。

あたし、日本中、かなりのところに行ったことがあるけど、しまなみ海道は渡ったことがありません。ちょうど、うちのセーネン@夏休みの大学生が、チャリでしまなみ海道をわたる(35キロくらいだそうです、しまなみそのものは)旅に出ています。どういう行程で、どういう風にわたっているのかは全然知りませんし、前後、自転車でどのくらい走っているのかも知りませんが、この本では、中学生が広島から今治まで必死で行くことになる、しまなみの様子を想像しています。

 なんだか、夏休みらしい、小説です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月11日 (火)

青葉の頃は終った

青葉の頃は終わった

 ぼちぼち読んでいる近藤史恵さんです。これは、なんだか若い人向き、学生時代に仲のよかったグループの男性2人、女性3人が社会人になって、なんとなく距離感がつかめてない頃、1人が亡くなります。ほんとに自殺?というところから話が展開します。微妙な年齢の男女、憧れや、崇拝、身近な恋愛、いろんな感情が錯綜した人間関係が、いろんな立場で見えてきます。

 私は学生時代からずいぶんの年月がたってしまっているからかもしれないけど、こんなもん?って思わないでもない。そーんなに偶像化したり、憧れたり、それを憎んだり、鬱陶しがったりする?うーむ、もうちょっと現実的なような気がするんだけどね。というわけで、近藤さんの若い作品。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月10日 (月)

平成お徒歩日記

平成お徒歩(かち)日記 / 宮部みゆき/著

 宮部さんがご自身で「始めての小説以外の本」と書かれていらっしゃる、東京の主に下町を彼女が雑誌の企画で(一部、グルメ旅行になってしまって、すいませんと、本人も書いているが)回る本です。彼女は江戸物っていう範疇の小説やミステリーなどを書いていらっしゃるので、そういう視点から、現代の東京を歩くんじゃなくって、江戸時代の下町を歩くんです。おまけに彼女はよく知られているように深川の生まれでいらっしゃるわけです。現代しか(当然)知らない私にも、へえ、へえと面白いです。私は隣県に生まれ、東京の西部でしか暮らしたことがないので、東側はとても知識がありません。だから、特に新鮮です。

 忠臣蔵で大内さんが、討ち入りの時に歩いたルートを歩いてみるとか、(討ち入りは冬でしょ、たしか12月、それを夏歩いて死にそうになる・・)、いろんな江戸時代のルートを彼女が、もちろん企画なので編集者さんとかも一緒に歩くわけです。車も走っているし、道路も違う、暑かったり寒かったりも違う、でも、そこそこにいろんなことが発見されるんです。時には、早籠=タクシー(大笑)に乗って、ずるもしているんですけど、結構面白い。

 東京=江戸って面白いんだなあ、と歩いてみたくなる本です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月 9日 (日)

逆襲、にっぽんの明るい奥様

逆襲、にっぽんの明るい奥さま

 わはは、夏石鈴子さんって、好きだなあ、と思う一作。全部、どーってことない無名の「奥様」っていうか主婦が出てくる短編集。専業主婦もあり、レジ打ちで働いている主婦あり、会社つとめ主婦あり、できのあんまりよくない子供が居る主婦あり、子供の居ない主婦あり、いろんな主婦(一応、全員が既婚だったり、離婚後の未婚だったり)が出てくるんだけど、みーんなちょっとせつなくって、ちょっとかわいくて、ちょっとたくましくて、ちょっとどこか不完全でいとおしい、そんな人ばっかり。なんだか、一緒に泣きたくなる短編あり、元気を貰う短編あり、そうだよね、そうだよね、ってうなずきたくなる短編ありで、夏石さんの、やさしい気持ち、突き放した気持ち、寄り添う気持ち、観察眼、いろんなものがとっても納得できる気がする。こういうのを書かせるとうまいなあ、と思うわ。

 軽いけど、楽しい。そして、こういう普通の人の気持ちをちゃんと書けるってすごいと思う。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月 8日 (土)

せつないカモメたち

せつないカモメたち

 髙樹のぶ子さんのへんな小説です。待ち時間が多く予想される病院に持っていって、なんだか読んじゃいました。女子中高生の不安定な時期、死にたいとかムカツクとか殺したいとか、そういう時期のオンナの子と、ひょんなことから知り合いになった、離婚して一人で生き始めた女性の物語です。

 なんていうか、自分のムシャクシャを、どう処理していいかわからない、という気持ち、大人も持っています。この女性は、元オットに対する怒りとかうらみとかですし、彼女と関係を持つ、妻に浮気されて出ていかれた男性は、妻に対する、あるいはマジメに働いて家族のために仕事ばっかりしてきたのに、という行き場のない怒りです。それを、法の範囲内でなんとかしているのが、普通の人で、うまくできないと、宅間さんみたいになって、死刑になるまで反省もせず、怒り続けている、という物語。じゃあ、女子中高生は、それをどうしたらいいの!?大人だったら、あれこれ、コントロールしたり、法に反しない方法で発散させたりってしているじゃない!という、なんだか原因があるようでないような、ムシャクシャを抱える女の子たち。そして、それは大人も抱えているんですね。

 うーむ。確かに。それをなんとなく、昇華させる方法を少しずつ器用に身につけてきているのが大人で、(もちろん、うまく昇華できずに誰かにあたったり、あるいは擬似的にサンドバッグを殴ったりするわけですが)、うまく行かないことも、うまくできないことも、子供から大人まであるよなあ。

 お友達のお子さんたちが難しい時期に差しかかって、不機嫌製作所(by伊藤ヒロミさん)になっているお話などを時々耳にします。そういう時期ってあるよなあ、でも、一緒に暮らしている人間は迷惑だよなあ。と私自身、ものすごく不機嫌製作所な時代を通ってきているのでよーくわかります。よく親が怒ってたわ。

 小説の中では、女の子の父親も母親も振り回されてウロウロします。ちょっとした知り合いにすぎない女性も、かなり振り回されます。当事者にとっては、迷惑だろうけど、でもねえ、大人になる最後の関門だと思うと、振り回されてあげてもいいかな、とヒトゴトだから思います。お疲れ様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月 7日 (金)

静かな爆弾

静かな爆弾

  言葉ってどれだけのことを伝えられるんだろう?

  テレビ局で報道ドキュメンタリー番組の制作を仕事としている男性が主人公。日々、中東の問題、アルカイダや、タリバンの関係の取材をして、特別番組を作ろうとしている。世界遺産である、仏像を破壊するテロリストとの政治的問題について、重要人物にインタビューすることを、必死になって実現させ、カメラに収め、世の中に問いたいという強い希望がある。あちこり、世界をかけずり回って、キーとなる人物に接触してインタビューしたいという仕事。そこでは、「誰が何を言ったか」ということ、「誰に何を言わせたか」「世界に何を問うか」ということが一番の問題なのだ。言葉、言葉、そして、爆発の映像。

 彼が偶然知り合った女性は耳が不自由で、会話ができない。いつも筆談。筆談となると、要点だけをなるべく伝えようとすることになるので、会話がとてもシンプルになる。音が聞こえないことによる危険を知り、彼女との静かな暮らしに安らぎを感じるようになる。彼女と何を共有できるのか、どういう気持ちをどうやって伝えたらいいのか。

 この2つの真逆に見えることが、彼の人生で同時期に重要なこととして降りかかってきて、普通に耳の聞こえる男性が、ゆれる様を書いた小説です。たくさんの言葉が行き交うからこその毎日の会話、ちょっとしたいさかい、共感。もっと大切なこと、もっとコアなことだけ、シンプルに伝えられたら、こんなに言葉で揉めることもないに違いないと思う日々をすごして居ると、彼と彼女の、シンプルな静かな様子が、もどかしいんですけど、ある意味、うらやましく思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月 6日 (木)

男は敵、女はもっと敵

男は敵、女はもっと敵

 とっても過激なタイトルだけど、働く普通の女性や男性が出てくる働く小説っていうだけです。仕事していて、あれこれあれば、いろんな対立も敵もある。男もいれば、当然、女も居るでしょ、くらいのところ。女性だから、味方になるかっていうと、そんなこと全然ないですよね。あくまでもその人っていうだけだと思います。女だから、女に厳しいことも多いよね。

 ただ、いろんな働く人が、なんだか、でこぼこして居るんだけど、必死に生きて、働いている様子。やっぱり嫌いじゃない山本さん。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月 5日 (水)

クジラの彼