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2017年1月 8日 (日)

冬の光

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 篠田節子さんの作品です。最初は、長年、20年来の愛人がいた父親が、そのことで家族から総スカンを食い、東日本大震災でその愛人が亡くなったことで、震災のボランティアに出て、それが終わったあと、四国の霊場を回り、結願したあと、人生に絶望してフェリーから身投げしたらしい、という設定で始まります。

 

 いくらなんでも、妻と2人の娘がいて、愛人と20年来の付き合い?彼女がなくなったからといって自殺?勝手過ぎないか、と次女が父親の最期の旅、四国の霊場めぐりを追って、父親の軌跡を知ろうとする旅に出ることになります。

 

 最初は、ずいぶんな父親の60代の男性の自殺の真相?と思って読み始めたんですけど、彼の若い時からー学生運動のころのあれこれ、その後の「転向」して就職した大手の企業のあれこれ、サラリーマンとしてのいろんな葛藤と家庭、自分が何のために、働き、何を求めて50年、60年の人生を歩んできたのかへの懐疑。あたし女性ですけど、わかることがいっぱいあります。彼の妻は気立てがよくって、つつましく家庭を守るタイプで働き者だけど、こういうサラリーマンの気持ち、組織の中でいっぱいのガマンをして、いろんな喜びも悲しみも仕事の中身と昇進とポストとのミックスの中で感じてきている気持ちは理解できない。それが、定年まじかになって子会社に出向になって、仕事の面でも気力の面でも打ち砕かれた気持ちになったことは、全然理解できない。で、女がいたらしいと怒る。愛人の、やたらガンコすぎるまっすぐすぎる姿は、世の中に迎合しない妥協しない一つの象徴として描かれていて、それはそれでたいへんで鬱陶しいけど、自分には持ちえなかった崇高な姿という面もある。そんな風に60年余生きてきた人生を思う小説になっていて、最後は救われるてよかった。普遍的なことをこれだけ丁寧に書いてくれて、ありがとうの篠田さん。さっすがすごい。リアルで苦しい、生きるっていうことはこういうことだとつくづく思う。

 

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